2004 Fiscal Year Annual Research Report
高分子ナノ粒子への機能性モルフォロジーの構築とウイルス捕捉
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16710071
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
金子 達雄 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (20292047)
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Keywords | ナノ粒子 / 分散重合 / 結晶成長 / コロイド結晶 / マクロモノマー / 3次元配列 / モルフォロジー / ウイルス |
Research Abstract |
本研究はウイルスの捕捉を指向したナノ粒子の形状制御を行うものであり、本年度は以下の研究を行った。スチレンとアクリロニトリル(AN)とポリエチレングリコールマクロモノマー(PEGm)を水・エタノール混合溶媒中でラジカル分散共重合を行った結果、表面に多くの突起を有するコロナウイルスに似た形状の高分子ナノ粒子(VNS)を得ることができた。粒径を動的光散乱法で測定したところ、200から600nmであった。重合時間を変化させてVNSを作成し、走査型電子顕微鏡によりその形状を観察したところ、1時間重合の時には突起は現れなかったが、2時間後に突起が出現しそれ以後6時間まで経時的成長が見られた。また、溶媒組成を種々に変化させて合成し、同様の観察を行ったところ、粒径、突起の大きさ、突起間距離、突起の配列様式などのモルフォロジーを広い範囲で制御することができた。各突起サイズのVNSのX線回折測定を行ったところ、突起サイズとポリAN成分の結晶化度に正の相関があることが分かった。以上の結果から、突起の成長はナノ粒子表面におけるAN結晶成長のパターニング効果によると考えた。次に、種々の形状のVNSのコロイド特性を調べたところ、突起の数が多いものほど沈降しにくいことが分かった。また、VNSは熱処理により融解し、続く冷却により再形成されることは無かった。最後にVNSを自己配列させるために、自然乾燥を行ったが、基盤表面上に規則正しく並ぶことが分かった。さらに、凍結乾燥すると三次元に規則配列し球殻体が得られた。この現象は突起のない球形のナノ粒子ではみられなかった。種々の形状のVNSでこの現象を観察したところ、VNSの形状が、ちょうど突起のサイズと時間距離が互いに歯車のようにかみ合うときに、高確率で球殻体が得られることが分かった。
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