2005 Fiscal Year Annual Research Report
高分子ナノ粒子への機能性モルフォロジーの構築とウイルス捕捉
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16710071
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
金子 達雄 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (20292047)
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Keywords | ナノ粒子 / 形状制御 / 自己秩序化 / 自己集合 / エイズウイルス / ウイルス捕捉 / タンパク固定 / 赤血球 |
Research Abstract |
本研究はウイルスの捕捉を指向したナノ粒子の形状制御を行うものであり、昨年度までに表面に多くの突起を有するコロナウイルスに似た形状の高分子ナノ粒子(VNS)を得、突起形状とコロイド物性に強い相関があることを見出している。本年度このVNSの表面をカルボン酸で機能化し、不活化エイズウイルス(HIV-1)の捕捉を試みた。昨年度用いた分散集合の系にさらにポリメタクリル酸マクロモノマー(PMAAm)を加え分散重合を行った結果、PMAAmのマクロモノマー全体に対する組成が10%程度以下の場合に、粒子表面に均一に突起が形成されていることが確認された。かつIR測定、ゼータ電位測定により粒子表面にカルボキシル基が導入されていることが確認された。続いて、表面にマンノース特異性のレクチンであるコンカナバリンA(ConA)の固定化を試みた。ConA表面に存在するアミノ基とVNS表面のカルボン酸を水溶性カルボジイミドで反応させ、その後未反応のConA量を上澄み液から定量することで評価を行った。ConA固定化実験の結果、VNSは、同サイズの球状ナノ粒子よりも効率よくConAを固定化できることが確認された。また、VNSは赤血球のようなマイクロメートルサイズの物質とは相互作用しにくいが、HIV-1などのナノメートルサイズの物質とは相互作用し易いというサイズ依存的な物質吸着能が確認された。これは、球状ナノ粒子においては観察されないことからVNSに特有の性質であると考えられる。さらに、赤血球とHIV-1を混合した溶液中からHIV-1のみを選択的に分離する実験を行った結果、球状ナノ粒子を用いた場合に赤血球の凝集作用からHIV-1を捕捉できなかったのに対し、VNSの場合には赤血球の凝集阻害から逃れつつHIV-1を捕捉するという機能を示すことが分かった。
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