2004 Fiscal Year Annual Research Report
微弱レーザー誘起型水晶発振子を用いる表面反応の解析
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16710081
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
川崎 剛美 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 助手 (60334504)
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Keywords | 水晶発振子マイクロバランス法 / 自己組織化単分子膜 / 光誘起表面反応 / レーザー |
Research Abstract |
数mW程度のレーザー光をマイクロバランスとして利用されている水晶発振子表面に照射すると、その振動数が可逆的に上昇する。筆者らはこれまで、この現象には表面に吸着した分子の光誘起脱離反応に基づく成分もあると考え、これを分子認識に応用する検討を行ってきた。例えば、水晶発振子に使われる蒸着金電極を特定の官能基を有するアルカンチオールを用いて化学修飾し、水溶液中で水晶発振子を発振させることで溶存基質との特異的な応答をレーザー応答の時間変化から検出する検討を行ってきた。 はじめに水晶発振子のレーザー応答の気相での気流あるいは液相系での攪拌効果について調べた。まず水晶発振子は気流あるいは攪拌そのものによってその基本振動数が変化することが明らかとなった。0.16 ms^<-1>とう遅い気流を発振子表面に対して当てると20〜30Hz程度変化した。その変化の向きは低下する場合が多いが、疎水的な状態では上昇する場合もあった。これは、表面からの水などの低分子の脱離以上に、表面と流体との摩擦や圧力効果による影響が大きいと考えられる。また水相中での攪拌下では、120 r.p.m.の攪拌で表面状態に依存して数十〜200 Hz振動数が減少した。これもやはり気相系と同様の理由により引き起こされている変化であると考えられる。水晶発振子のレーザー照射による振動数変動は、気相液相とも、気流もしくは攪拌のない場合に比べて低下する。これは、レーザー光誘起の脱離が、流体の流動によって摂動を受けたものと考えられる。この流動効果は表面修飾の種類によって増減し、このことから表面の水和状態が動的な特性として議論できることが示唆された。特に、生体適合性高分子膜表面の特徴を明らかにすることができた。 また、DNAの一塩基変異をレーザー応答によって検知する検討を行い、従来の水晶発振子マイクロバランス法の10倍の感度で測定することに成功した。
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Research Products
(3 results)