2004 Fiscal Year Annual Research Report
チオール化した液晶分子を用いた金属ナノ粒子の創製-外部電場による光学特性の制御-
Project/Area Number |
16710082
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
日野 和之 愛知教育大学, 教育学部, 助手 (60362307)
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Keywords | 金属ナノ粒子 / 金-チオール / シアノビフェニル系液晶 / 非線形光学効果 / シュタルク効果 / プラズモン吸収 |
Research Abstract |
本研究の目的は、チオール化した液晶分子を用いて金属ナノ粒子を創製し、ナノスケールとサブナノスケールに分離して、再び液晶中に溶解した後に、非線形光学現象と発光現象の光学特性を外部電場により制御することである。特に、入射光の偏光方向と外部電場の相対配向を変化させることによって、3次の非線形光学効果の強度を増減させ、シュタルク効果により可視領域の蛍光の波長や強度を連続的にシフトさせることを実現するものである。 今年度は、チオール化した液晶分子の有機合成を行い、金属ナノ粒子の調製を試みた。このために不活性ガス下で実験できるガラスライン反応装置を組み上げた。対象分子として、化学的、光化学的な安定性に優れたシアノビフェニル系の液晶を選択した。アルキル鎖長に対する物性変化を調べるために、炭素原子数n=8および9の誘導体を合成した。この際、次の反応スキームを開発した。2価の直鎖アルコールをハロゲン化し、シアノビフェニルオールとカップルさせ、アルキル末端をチオアセチル化し、最後に加水分解してチオール化する方法である。 以上によりチオール化した液晶分子を用いて金ナノ粒子の合成を行うために、3つの方法(ヒドリド還元法、アルコール還元法、光還元法)を試みた。初めの2つの方法では、金イオンが還元の際にバルク金属へ凝集してしまった。一方、光還元法では溶液中で安定なナノ粒子が生成した。プラズモン吸収が観測されることから、粒子サイズは数ナノメートルスケールであることが分かった。また、粒子サイズをサブナノメートルスケールに押さえ込むために、還元時の濃度や温度の条件を検討した。来年度以降に電場効果の実験を行う予定である。
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