2005 Fiscal Year Annual Research Report
チオール化した液晶分子を用いた金属ナノ粒子の創製-外部電場による光学特性の制御-
Project/Area Number |
16710082
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
日野 和之 愛知教育大学, 教育学部, 助手 (60362307)
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Keywords | 金属ナノ粒子 / 金-チオール / シアノビフェニル系液晶 / 非線形光学効果 / シュタルク効果 / プラズモン吸収 |
Research Abstract |
本研究の目的は、チオール化した液晶分子を用いて金属ナノ粒子を創製し、ナノスケールとサブナノスケールに分離して、再び液晶中に溶解した後に、非線形光学現象と発光現象の光学特性を外部電場により制御することである。特に、入射光の偏光方向と外部電場の相対配向を変化させることによって、3次の非線形光学効果の強度を増減させ、シュタルク効果により可視領域の蛍光の波長や強度を連続的にシフトさせることを実現するものである。 今年度は、電場効果の実験を行うための予備実験を行った。電場吸収・電場蛍光スペクトルを解析することにより、光学遷移にともなう双極子モーメントや分極率の変化量を求めることができる。これらの物理量は、非線形光学効果やシュタルク効果を理解するための基本的な物理量であり、今後の研究展開にとって極めて重要な解析方法となる。 チオール化した液晶分子の有機合成については、昨年度開発した方法をより洗練した。モノハロゲン化アルコールを用いるのではなく、ジハロゲン化アルカンを用いる極めて簡便な方法である。金属ナノ粒子の合成については、配位子置換法の適用に成功した。これは、高分子系の安定化剤PVPによってあらかじめサイズを規定した金属ナノ粒子を合成し、その後、チオール分子を加えて、PVPを置換し、目的の金属ナノ粒子を得るものである。この方法によって、粒子サイズを1nm単位で作り分けることができた。しかしながら、この方法では比較的大きな10nm単位の粒子を得ることが難しい。この点を補うために、前年度適用に成功した光還元法や焼成法を用いる予定である。さらに、等方的なナノ粒子では、液晶分子の異方性の特徴を生かしきれないと考えられるので、異方性の高いナノロッドの作成を試みる予定である。 以上により、サイズや形状の異なる金属ナノ粒子を作り分けて、来年度はその光学現象を観測し、電場効果を追究していきたい。
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