2004 Fiscal Year Annual Research Report
触媒化学気相成長法による酸化亜鉛ナノ構造の形成とカーボンナノ構造との複合
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16710086
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
寺迫 智昭 愛媛大学, 工学部, 助手 (70294783)
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Keywords | 酸化亜鉛(ZnO) / カーボンナノチューブ / 化学気相堆積(CVD)法 / 気相-液相-固相(VLS)機構 / フォトルミネッセンス / 励起子 / 低温成長 / 積層カップ型カーボンナノファイバー |
Research Abstract |
本年度は、(1)「塩化亜鉛(ZnCl_2)-水(H_2O)原料系を用いた化学気相堆積(CVD)法による酸化亜鉛(ZnO)ナノワイヤー(NWs)の形成」と(2)「カーボンナノチューブ(CNT)のCVD法による低温成長」という二つの課題に取り組んだ。 (1)については、(a)ZnCl_2及びH_2Oがともに原料導入管によって基板直前で混合される方式と(b)ZnCl_2のみが原料導入管で基板直前まで運ばれる方式とでZnOMsのCVD成長を試みた。両方式でZnONWsの成長が確認されたが、前者の方式で作製されたZnONWsの直径分布の広がり(100-300nm)は後者(100-1000nm)より狭いという傾向が確認された。また、後者の方式で作製されたNWsの先端には、気相-液相-固相(VLS)機構による成長を示す触媒金属粒子が見られた。いずれのZnONWsの室温フォトルミネッセンススペクトルにおいても励起子の関係するバンド端発光が支配的であり、この原料系で作製されたNWsが高品質であることを示す結果が得られている。 (2)については、現在使用中のCVD装置の電気炉が二温度領域であることから、上流側をエタノール熱分解用(熱分解領域)、下流側を触媒コート基板加熱用(基板加熱領域)と役割を分担することで、CNTのデバイス応用上重要な基板温度の低温化の可能性を探ることとした。基板加熱領域温度(基板温度)および熱分解領域温度をパラメータとして成長実験を行った結果、基板温度400℃まで低下してもワイヤー状のカーボンナノ構造が観察された。基板温度500℃で作製した試料の透過型電子顕微鏡(TEM)による観察からは、成長したワイヤー状カーボンナノ構造が積層カップ型カーボンナノファイバー(CNF)であることが明らかになった。さらに基板温度が400℃まで低下するとグラフェンシートの積層に規則性が見られなくなっていた。
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