2004 Fiscal Year Annual Research Report
走査プローブ法による1生体分子操作・計測に最適な分子固定法の開発
Project/Area Number |
16710090
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Research Institution | Musashi Institute of Technology |
Principal Investigator |
梅村 和夫 武蔵工業大学, 工学部, 講師 (60281664)
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Keywords | 原子間力顕微鏡 / カンチレバー / プローブ / 一分子 / ナノバイオセンシング / 大腸菌 / 蛋白質 / 共振周波数 |
Research Abstract |
3年計画の初年度に当たる16年度は、微量試料を原子間力顕微鏡(AFM)プローブに吸着・結合させる可能性のある方法を複数試した。まず、1マイクロリットルの極めて微量な懸濁液に含まれる大腸菌をAFMプローブに吸着させて検知させた。最終的には分子の吸着が目的であるが、吸着結果の評価をたやすくするため、まず菌体を用いた。実際の実験では疎水性の基板を作製し、懸濁液が基板表面に散逸しない工夫を行って、そこにAFMプローブをわずかに接触させることで微量な菌体を吸着させた。光学顕微鏡下でプローブの動きを確認しながら作業を行うことで、プローブの片面だけに菌体を吸着させることに成功した。菌体濃度を調節し、まばらに菌体が吸着する条件を見いだして吸着量をコントロールすることができた。吸着した菌体量をAFMカンチレバーの共振周波数から求めるバイオセンシング実験にも成功した。このほか、分子レベルでの実験を行うため、プローブ表面での自己組織化膜形成を行い、膜の形成前後での質量変化の測定をも試み、同様の方法で検知することができた。これらの結果については現在論文投稿中である。また、これとは別のアプローチとして、AFMのリフトモードと呼ばれる機能を応用して、一つの物体だけを直接プローブに吸着させる実験も行った。この手法では、DNAをプローブに吸着させた例が既報告にある。本研究では最初の試みとして、蛋白質をコートしたナノ粒子をプローブに取り付けることを試みた。結果は、プローブによる粒子の操作はある程度できたが、しっかり固定することは簡単でなく、なお改良が必要と考えられる。今後は、一分子の選択的な吸着・結合実験へと進めたい。
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