2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16710092
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Research Institution | Takuma National College of Technology |
Principal Investigator |
辻 琢人 詫間電波工業高等専門学校, 情報通信工学科, 講師 (70321502)
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Keywords | 青色発光 / 赤色発光 / 結晶欠陥 / ナノクリスタルシリコン / 高周波スパッタ / 原子状水素 |
Research Abstract |
量子サイズ効果によるナノクリスタルシリコン(nc-Si)の発光は、その結晶粒径をナノメートル単位で制御することにより得られる。本研究では、昨年度立ち上げた高周波マグネトロンスパッタ装置、及び熱アニール装置を用いてnc-Si発光層の作製を試みた。具体的な作製方法として、シリコン酸化膜(SiO_2)上にシリコン(Si)基板を載せたものをターゲットとして、SiO_2とSiを同時スパッタリングすることにより、Si基板上にSiO_2-Si層を形成し、SiO_2層内に粒径が数nm程度の微小なアモルファスシリコン(a-Si)を埋め込んだ。SiO_2-Si層堆積後、SiO_2層中のa-Siを結晶化するために不純物の混入などの恐れのない高真空中(〜2×10^<-4>[Pa])で熱処理することによりa-Siの結晶化を試み、SiO_2層中にナノクリスタルシリコン(nc-Si)の形成を行った。SiO_2層中のnc-Siの結晶化は、X線回折により検証し、Si(111)が優先的に結晶化していると推定された。 このように作製されたnc-Si発光層の光学的特性をカソードルミネッセンスで評価した。その結果、波長450[nm](青色)、650[nm](赤色)に強い発光スペクトルが観測された。また、それらの発光より発光強度が半分程度ではあるものの550[nm](緑色)付近にも発光が観測された。これらの発光のそれぞれの強度を自在に制御することができれば、多色光源の発光層への応用が期待できる成果が得られた。また、450[nm]、650[nm]の発光スペクトルの半値全幅(FWHM)は、これまでにnc-Siから得られている発光スペクトルと比較して半分以下程度と非常にシャープな発光を示した。 このようにして高周波マグネトロンスパッタ法を用いて作製したnc-Si発光層の長寿命・高輝度化を、昨年度設計・自作した原子状水素生成セルを用いて、層中の結晶欠陥を低減することにより試みた。しかしながら、作製したnc-Si発光層を原子状水素雰囲気で熱処理しても大幅な発光強度の増大や結晶欠陥の不活性化は、まだ明確には観察されていない。今後、更に原子状水素の照射条件を最適化し、発光強度の増大、結晶欠陥の不活性化を試みる。
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Research Products
(2 results)