2005 Fiscal Year Annual Research Report
レーザー誘起磁気円二色性光電子放出を利用した磁気走査トンネル顕微鏡の開発
Project/Area Number |
16710093
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Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
中川 剛志 分子科学研究所, 分子構造研究系, 助手 (80353431)
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Keywords | 走査トンネル顕微鏡 / 光電子放出 / 表面磁性 / ナノ磁性 |
Research Abstract |
我々はレーザーによる光電子放出とトンネル現象を利用した新しいSTMを考案した。この原理ではレーザーの偏光と表面スピンの方向との間に明確な関係が成り立つことが予想され、スピンの方向を決定できる。また、原子分解能も期待できると考えている。以上のような特徴を持った測定手法の開発を進めている。 平成17年度は光電子放出の磁気円二色性(MCD)の研究を行なった。X線の領域では内殻からの光電子放出による磁気円二色性の研究が盛んに行われている。ここでは数%〜数十%のMCDが観測できるが、可視・紫外レーザーによる価電子帯からの光電子放出によるMCDがどの程度でるのかに付いての実験データがない。そこで我々はNi/Cu(001)で膜厚を変化させることで生じる面直磁化膜、面内磁化膜を用いて価電子帯からのMCDを測定した。仕事関数と光のエネルギーが一致したときに最もMCD強度が大きくなることを見出した。面直膜では1%/原子層のMCD強度が得られ、十分に観測可能な値であることが分かった。この成果は学術雑誌に投稿中である。 上記のMCD強度が最も強くなる条件(仕事関数と光のエネルギーが一致したとき)はトンネル光電子を測定するときの条件と同じであり、STMにより磁化測定ができる望みを大いに持たせるものである。実際にどの程度STMによりMCD強度が得られるのかを最終年度であるの今年の目標として、研究課題をまとめる。
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Research Products
(4 results)