2005 Fiscal Year Annual Research Report
不確実性を含んだ数理計画問題に対するロバスト最適化法と最適設備投資決定への適用
Project/Area Number |
16710110
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
武田 朗子 東京工業大学, 大学院・情報理工学研究科, 助手 (80361799)
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Keywords | ロバスト最適化 / 不確実性 / 数理計画問題 / サンプリング / 半正定値計画問題 |
Research Abstract |
不確実性の高まっている近年、不確実性を含んだ数理計画問題のモデル化やその解法に関する研究が注目を浴びている。不確実な数理計画問題に対して、ロバスト最適化法は不確実なデータのとり得る範囲をあらかじめ設定して、その中で最悪の事態が発生したときを想定して最適化を行う方法である。通常の数理計画問題に比べて、ロバスト最適化による問題(ロバスト最適化問題)は無限本の制約式を含むために格段に扱いにくい。そこで、不確実なデータの記述方法を工夫することにより、ロバスト最適化問題を半正定値計画問題等の解きやすいクラスの問題に帰着させている。しかし、解きやすいクラスの問題に帰着させるため不確実なデータの記述方法が限定されてしまい、現実問題にそぐわない、汎用性が低いといった欠点がある。 そこで、不確実なデータの記述方法には何も制限を設けず、代わりに不確実なデータの取りうる範囲からサンプリングして、ロバスト最適化問題の緩和問題を作る手法を考案した。その緩和問題は有限本の制約式を持つため、解きやすい間題に定式化される。また、所与の近似精度を持つ緩和解を得るために必要なサンプル数を、理論的に見積もることができた。この成果をまとめて、現在、学術論文誌に投稿中である。本研究によって、どのような不確実データの記述をもつロバスト最適化問題も、サンプリング手法により精度保証付きの緩和解が得られることとなり、現実的な問題に対するロバスト最適化法の適用が期待できる。 また、最悪の事態を想定して最適化を行う通常のロバスト性基準ではなく、各状況での最適解と大して差異のない解を求めるためのロバスト性基準を用いた問題に、上述のサンプリング手法を適用して保証付きの緩和アルゴリズムを構築した。この研究成果もサンプリング手法の一適用例として、論文誌に投稿中である。
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