2005 Fiscal Year Annual Research Report
被災情報データにもとづく広域救援経路導出決定支援システムの調査構築研究
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16710118
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Research Institution | Kushiro Public University of Economics |
Principal Investigator |
皆月 昭則 釧路公立大学, 経済学部, 助教授 (90363712)
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Keywords | 被災情報 / 路線バス / 地震災害 / 経路誘導 / 無線機能 / 避難場所 / プランニング / 暖房機能 |
Research Abstract |
避難場所や避難所は、自然災害(地震)など危険が直面したときに、住民が避難するところである。すなわち、自然災害が発生した場合、平常時の空き地・広場・公園・公民館・学校などを短時間で仕様変更する必要がある。仕様変更としては、避難住民を受け入れるスペースに加えて「応急救護そして情報伝達を可能にする環境と機能」を設置することになるが、過去の自然災害時の事例でも、それらの設置には時間を要する。季節や昼夜の時間帯異なる状況では、災害直後の短時間の屋外避難の場合でも傷病者や弱者への負担も大きいと考えられる。本年の科学研究費テーマの研究では、テーマ副次的な部分に着目して、広域救援経路導出の前段階の待機措置になる地震発生後24時間以内の避難場所や避難所の機能部分に着目し「応急救護そして情報伝達を可能にする環境と機能」を短時間で設定する方策を提案するために研究調査と実証実験をした。副次的なテーマにおいて導出を期待すべき点は、主テーマの「被災情報データにもとづく広域救援」までには時差が3日以上あることが推察される。屋外避難の場合、十分な時間や人手があればテントやプレハブを設営するということも可能であるが、自然災害発生時には余裕はほとんどない。余裕がない状況でも「応急救護そして情報伝達が必要」であるのは自然災害(地震)直後からの数時間以内に行う地域住民による初動対応が重要である。よって、実験では、地震直後の屋外の避難場所における「応急救護そして情報伝達が可能にするための」環境を確保するのかを調査検討した結果、地域内の路線バスネットワークとバス車両の仕様に着目して新たな方策を導出した。実験の結果、震災時のバス走行やバス車両の取り扱いについては、行政の定める制度やバス運行事業者における体制と訓練が必要であると考えられる。制度や体制については、行政や連合町内会との連携した検討会が必要であり、訓練については、震災時の運行乗務に関する特別なノウハウを含んだ訓練プログラムの考案も必要であると思われる。将来、日本が高齢化社会を迎えるにあたり、あるいは環境に配慮した移動手段を研究されている中、安全で環境に優しい移動手段は、地域に張り巡らされた路線バスネットワークではないのかと思われる。実証実験の結果より、今後、我が国の防災計画の中に、新たに地震・津波避難を含めた災害時の迅速な避難のために路線バスネットワークの活用を組み込むことで地域防災の盾、そして平常時の地域の生活を支えている生命線としての重要性を提言したい。また、主テーマの「被災情報データにもとづく広域救援」に関して、迅速な被災情報収集のための無人航空機(UAV)開発について、米国メーカを視察調査した。
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