Research Abstract |
今年度は,主としてスケジューリング問題に対する厳密解法,および,整数計画問題に対する主算法に関する研究を行った.まず,二つの目的関数に優先順位が与えられる階層的二機械フローショップ問題の一般化を検討し,二つの目的関数をそれぞれ単独で最適化することは容易であるが,二つを同時に考慮するとNP困難になる問題を取り上げた.問題の性質を利用し効率的な分枝限定法を提案したが,それでもなお扱うことができる問題の規模には限界があり,階層的スケジューリング問題は理論上ばかりでなく実際の計算上も困難な問題である,という結論に至った.次に,総滞留時間(完了時刻の総和)の最小化を目的関数とする,二機械フローショップ問題に対する優越関係を扱った.本研究では,基本補題を用意し,これを用いることによって過去に提案されたさまざまな優越関係を統一的に扱うことができ,しかも関係を強化することができた.また,基本補題を用いることで,より柔軟な子問題表現に対して優越関係が導出できた.さらに,計算機実験によって,本研究で提案した優越関係の有効性を調べた.続いて,整数計画問題に関する主算法として,近年提案された,Integral Basis Methodの研究を行った.まず,この解法の実際の有効性を詳しく理解するためにプログラムを作成し,この解法の動きについて調べた.また,組合せ最適化問題に対してこの解法を適用し,計算効率を高めるための工夫について検討し,また,始めに与えるべき定式化(タブロー)の重要性についても検討を行った.
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