2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16710131
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
飛田 哲男 京都大学, 防災研究所, 助手 (00346058)
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Keywords | 天井川 / 河川堤防 / 盛土 / 液状化 / 沈下 / 遠心模型実験 / 有効応力解析 |
Research Abstract |
本研究では地震時における天井川化した河川堤防盛土の安定性を検討するために,緩詰め飽和砂地盤,密詰め飽和砂地盤上の盛土について,入力波の加速度振幅を変化させた計6ケースの遠心模型実験を行った,また多重せん断モデル(FLIP)を用いた有効応力解析を行い,数値解析結果と実験結果とを比較した.これらを通じて明らかになった点は以下の通りである. 1)遠心模型実験結果より下部地盤が緩詰め飽和砂(相対密度30%)の場合,盛土高さの約40%程度の大きな沈下が生じた.一方,下部地盤が密詰め飽和砂(同70%)の場合は,入力加速度が約574Galと大きな値でも,天端沈下量は盛土高さの3%程度に抑えられた. 2)緩詰め地盤上の盛土沈下は,緩詰め地盤が地震によるせん断力を受けて,水平方向に広がると同時に鉛直方向に収縮することで生じることが示された.一方,密詰め飽和砂地盤でのそれは,盛土斜面が斜めに滑り落ちることにより生じることが示された. 3)数値解析では,下部地盤が緩詰め飽和砂の場合は,下部地盤が水平方向へ広がると同時に鉛直方向に縮むことで盛土の沈下が生じている.また下部地盤が密詰め飽和砂の場合は,盛土斜面が斜めに滑ることで天端の沈下が生じている。天端の沈下量に関しては入力加速度が小さい場合は比較的実験結果と近いものの,実験よりも過小評価となった. 4)数値解析から,下部地盤が緩詰め飽和砂の場合の天端沈下量は,加振による下部地盤の軸差ひずみ増分と密接な比例関係にあることがわかった.一方,下部地盤が密詰め飽和砂の場合は,天端沈下量と軸差ひずみとの間に大きな相関は見られず,盛土自体の変形が支配的である. 5)実験と解析の結果より,地震時における盛土の沈下を抑える対策としては,下部地盤の締固めを行うことや,変形が大きい下部地盤の両脇に固化体を入れることなどが挙げられる.
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