2004 Fiscal Year Annual Research Report
都市が形成する気象を考慮した都市型集中豪雨の予測に関する研究
Project/Area Number |
16710133
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
吉本 直弘 大阪教育大学, 教育学部, 講師 (10294183)
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Keywords | 都市型集中豪雨 / 気象災害 |
Research Abstract |
2004年に気象庁アメダス観測点の大阪において観測された1時間雨量20mm以上の強雨は8事例あった。これらの強雨をもたらした大気擾乱は、寒冷前線が3事例、台風が3事例、秋雨前線が2事例であった。大阪における強雨の特徴は、対流圏下層の暖かく湿った空気が太平洋から紀伊水道を抜け大阪湾に入り、豊富な水蒸気がメソスケール降水システムに供給され、降雨が強化されることにある。寒冷前線の事例を解析した結果、寒冷前線が大阪湾上に達したとき降雨が強化され、大阪に強雨がもたらされた。大阪における豪雨発生予測に対して、大阪湾上における寒冷前線による降雨の強化は重要な現象の一つである。 2004年に大阪で1時間雨量が最も多かった事例は2004年10月20日の台風0423号である。最大1時間雨量は40mm、日雨量は155mmに達し、大阪府では床上浸水16戸、床下浸水156戸などの被害が発生した。気象庁レーダーによって観測されたレーダーエコーの水平分布を解析した結果、停滞性のレーダーエコーが大阪上空で観測された。このレーダーエコーはアメダスの地上風によって観測されたメソ前線上に存在していた。大阪を台風が通過する頻度は低いが、メソ前線の形成という大阪固有の豪雨形成過程を豪雨の予測に組み入れることが重要である。加えて、大阪教育大学柏原キャンパスで行った光学式雨量計の観測では、台風の降雨の微細構造が明らかになった。台風の外側レインシールドから内側レインシールドにおいて、約5分周期で降雨強度10〜20mm h^<-1>の強雨が約4時間に渡って繰り返し現れた。台風による大雨の発生には、台風の中心付近の激しい降雨だけでなくその周辺おいて長時間持続するやや強い降雨も重要であることがわかった。兵庫県豊岡市周辺や京都府舞鶴市周辺で発生した豪雨災害は台風の外側レインシールドの降雨によってもたらされている。
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