2006 Fiscal Year Annual Research Report
トラフグゲノム資源を利用した,メフグの体液組成維持機構の解析
Project/Area Number |
16710145
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
加藤 明 東京工業大学, 大学院生命理工学研究科, 助手 (40311336)
|
Keywords | フグゲノム / 体液 / ホメオスタシス / イオン輸送体 |
Research Abstract |
【目的】 淡水と海水の両方で生きることができるトラフグ近縁種のメフグに着目して発現解析を行い,体液の恒常性維持に関わるイオン輸送体やホルモン受容体の特定と機能解析を行った。なお,2005年にBMCPhysiologyに発表した本研究の成果は,BMCPhysiology誌の全ての論文の中で7番目にアクセス数の多かった論文(2006年通年)となった。 【結果】 淡水適応に必須なNaCl輸送体の同定:腎臓におけるNaClを輸送するトランスポーターの発現解析の結果,NaCl共輸送体(NCC)の腎臓における発現量とフグの淡水適応能に密接な関係があることを突き止めた(未発表)。NCCの腎臓における活性制御のメカニズムは魚類が淡水中で生きるために必要な分子機構の1つだと考えられ,現在,その全貌の解析を行っている。 柱細胞の分子解剖:フグのエラの組織学的な解析の結果,エラの血管網を形成する柱細胞の解析にフグが適していることを見出した(J.Histochem.Cytochem.2007,J.Histochem.Cytochem.in revision)。柱細胞は酸素・二酸化炭素の代謝以外にもイオンやホルモンの代謝に重要な役割りを担っている。柱細胞にエンドセリン受容体やアンモニア輸送体が存在することを見出した(BBRC 2007,FASEB J 2007)。 腸における重炭酸分泌機構の解明:飲水した海水に対して腸から重炭酸イオンを分泌する海水魚特有の仕組みは,海水魚の浸透圧調節・カルシウム代謝に重要である。メフグの重炭酸イオン輸送体の発現解析の結果,Slc26ファミリーに属する陰イオン交換輸送体とSlc4ファミリーに属する重炭酸ナトリウム共輸送体を特定した(未発表)。現在,これらの輸送体による重炭酸イオン分泌の分子メカニズムの解明を行なっている。
|
Research Products
(4 results)