2004 Fiscal Year Annual Research Report
プロテインキナーゼC活性化機構の解明と新規阻害剤の開発
Project/Area Number |
16710152
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
平井 剛 東北大学, 多元物質科学研究所, 助手 (50359551)
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Keywords | isobenzofuranone / PKCα / 有機合成 / Stille coupling / 不斉ジヒドロキシル化 / 生物活性 |
Research Abstract |
細胞内情報伝達を司るPKCαの活性化コンホマーの詳細な解析を目指し、C1ドメインに結合する新規リガンドの開発を検討した。当研究室ではisobenzofuranone誘導体が、PKC C1ドメインに結合して活性化することを見出している。ベンゼン環上のフェノール性水酸基に結合したアルキル基は細胞膜と相互作用すると考えられる。そこでまず、PKCαが活性化するためにはC1ドメインのどの方向に膜が存在すれば活性化能を強く発現するかを検討するため、isobenzofuranoneのフェノール性水酸基の位置異性体を合成して活性を評価することとした。 7位置換isobenzofuranoneは2-(R)体の結合能が2-(S)体よりも結合能が高いことがわかっていたので、2-(R)体を不斉合成するルートをStille coupling反応、不斉ジヒドロキシル化を鍵反応として確立した。また、6位、5位および4位置換体は同様の反応をベースとしてラセミ体を合成し、光学分割して両対称体を得ることができた。 合成した各種誘導体の生物活性は、C1bへのドメイン結合試験とPKCαの活性化試験を検討し評価した。その結果、7位および6位置換の誘導体のほとんどは、C1bドメインに強く結合しPKCαを活性化した。7位と6位では若干の活性に違いはあるものの、これらのアルキル鎖の向きはPKCαの活性化に重要であることがわかった。対照的に5位および4位置換の誘導体はC1bドメイン結合能が低くなり、PKCαの活性化能も弱まっていた。また4位置換の誘導体の中で、C1bドメインに結合しながらもPKCαを全く活性化しないものを見いだすことができた。これは、この誘導体がPKCαを不活性コンホマーで安定化していることを意味すると考えることができる。本isobenzofuranone誘導体によって、PKCαC1bドメインが活性化の段階でその細胞膜への向きが大きく変わっていることを示すことができた。
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