2005 Fiscal Year Annual Research Report
プロテインキナーゼC活性化機構の解明と新規阻害剤の開発
Project/Area Number |
16710152
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
平井 剛 独立行政法人理化学研究所, 袖岡有機合成化学研究室, 研究員 (50359551)
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Keywords | Isobenzofuranone / PKCα / 有機合成 / C1ドメイン / ドメイン選択性 |
Research Abstract |
細胞内情報伝達を司るPKCαは、生体内ではセカンドメッセンジャーであるジアシルグリセロールがリガンド結合サイトのC1ドメインに結合して活性化される。一方、発ガンプロモーターのホルボールエステルも、同様にC1ドメインに結合してPKCαを活性化することから、そのC1ドメインへの結合と活性発現との関係を明らかにすることを目指した新規C1ドメインリガンドの創製を展開してきた。今年度は、すでに新規C1ドメインリガンドとして開発したIsobenzofuranoneリガンドの、7位に疎水性アルキル基を有する誘導体を種々合成した。合成した化合物の活性を調べるため、PKCαに対する[^3H]-PDBu(ホルボールエステル誘導体)との競合的結合阻害能(PKCα結合試験)、及びPKCαの活性化能を評価した結果、興味深い現象を見出すことができた。誘導体の中で嵩高い疎水基を有する化合物は、結合試験において高い[^3H]-PDBu結合阻害能、PKCα活性化能を有していたのに対して、直鎖のアルキル基を有する化合物は、ほとんど[^3H]-PDBu結合阻害能を示さなかったのにもかかわらず、比較的高いPKCα活性化能を有していた。 PKCαには2つのC1ドメイン(C1aドメインとC1bドメイン)があり、ホルボールエステルはこのC1bドメインに高い結合選択性を持つことが報告されている。また、PKCα活性化試験では、リガンドがC1aドメインに結合してもC1bドメインに結合してもPKCα活性化能を示すことから、合成した嵩高いアルキル基を持つリガンドはC1bドメインに優先的に、直鎖アルキル基を持つリガンドはC1aドメインに優先的に結合していることが示唆された。このことから、新たに開発したIsobenzofuranone誘導体の置換基を変えることで、それぞれのC1ドメインへ選択的に結合するリガンドを創製できることがわかった。
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