2004 Fiscal Year Annual Research Report
電子伝達蛋白質と超分子複合体を形成する亜硝酸還元酵素の構造と分子進化に関する研究
Project/Area Number |
16710156
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
井上 豪 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (20263204)
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Keywords | 亜硝酸還元酵素 / 電子伝達ブルー銅蛋白質 / 蛋白質-蛋白質相互作用 / 超合子複合体 / 結晶構造解析 / 電子伝達機構 |
Research Abstract |
脱窒菌Hyphomicrobium denitrificans由来の亜硝酸還元酵素(hyd-NIR)は、亜硝酸還元酵素(NIR)様ドメイン(37kD)と電子供与蛋白質様ドメイン(13kD)が1本のアミノ酸配列上で連結した約50kDの複合体蛋白質が6量体を形成して、分子量が300kDの超分子複合体である。本研究の目的は、亜硝酸還元酵素と電子供与蛋白質が連結した超分子複合体のX線構造解析により、蛋白質-蛋白質相互作用に関する4次元構造を解明し、分子認識に関する構造基盤情報を蓄積するとともに、電子伝達機構の解明と分子進化についての知見を得ることを目的としている。 すでにhyd-NIRのNative結晶の結晶化に成功し、2.8Å分解能までのデータ収集に成功した。しかし、非対称単位あたりには、6量体のHyd-NIR複合分子が3個存在し、合計で54個の銅イオンを含んでおり、54個の銅イオンの異常分散効果を利用した構造解析法が困難を極めた。そこで、1分子あたり3個存在する銅イオンを1つ減らした変異体Hyd-NIRを作成し、変異体Hyd-NIRの組み換え大腸菌の大量培養および大量精製を行い、種々の結晶化条件を検索した結果、不安定な結晶ながら再現性良く結晶を得ることに成功した。変異体結晶は非対称単位中に36個の銅イオンを持ち、大型放射光実験施設SPring-8において銅イオンの異常分散データを含む3.3Å分解能までのX線回折強度データの集積を行った。しかし、peakにおける回折データ収集のうちに、X線による損傷を受け、未だ構造解析には至っていない。
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