2004 Fiscal Year Annual Research Report
非天然型ヌクレオシドの合成と、これを利用した核酸合成酵素認識機構の解析
Project/Area Number |
16710166
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
小島 直 独立行政法人産業技術総合研究所, ゲノムファクトリー研究部門, 研究員 (30356985)
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Keywords | 核酸誘導体 / デアザヌクレオシド / 1-デアザグアノシン / 核酸合成酵素 / ポリメラーゼ / オリゴヌクレオチド / 合成後修飾 / 機能性核酸 |
Research Abstract |
申請者はこれまでに、ヌクレオシドあるいは核酸が、酵素蛋白質等との間で形成する水素結合に着目し、この水素結合による分子間相互作用の解明に利用可能な核酸プローブの開発を行ってきた。本研究課題では、昨年度までに合成を達成した新規化合物、1-デアザ-2'-デオキシグアノシンについて、核酸プローブとして開発することを目標に研究を進めた。 1)1-デアザグアノシン誘導体の合成とDNAへの導入 1-デアザ-2'-デオキシグアノシンのアミダイト体への変換を行った。このアミダイト試薬を用いて、核酸自動合成機により該化合物を導入したオリゴデオキシヌクレオチド合成を達成した。また、1-デアザ-2'-デオキシグアノシンのトリリン酸誘導体についても合成法を確立した。 2)1-デアザグアノシンがDNA二本鎖の熱的安定性に及ぼす影響の解析 13残基のオリゴヌクレオチドの中心に1-デアザグアノシンを導入して、相補的な配列との間で形成される二本鎖の熱的安定性を測定し、1-デアザグアノシンの塩基対形成能を検討した。その結果、該化合物はいずれの天然型核酸塩基との組み合わせにおいても、その熱的安定性は天然型ミスマッチ塩基対と同程度であり、塩基対を形成しないことが示された。 3)オリゴヌクレオチドの合成後修飾法への応用 1-デアザ-2'-デオキシグアノシンは酸性条件に非常に不安定であり、容易に脱グリコシル化反応が進行することを見出した。pH2の溶液中における反応速度は天然型デオキシグアノシンの25倍以上であった。そこで、この性質を利用したオリゴ鎖末端部位での選択的なabasic部位作製法を確立し、さらにこの反応をオリゴヌクレオチドの合成後修飾法へと応用した。本反応は溶液のpHを変えるだけで容易に進行し、様々な機能性分子を導入した修飾核酸の合成に適していることを示すことができた。
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