2004 Fiscal Year Annual Research Report
水田生態系の生物多様性維持機構からみた生態系配慮型圃場整備の効果と限界
Project/Area Number |
16710167
|
Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
東 淳樹 岩手大学, 農学部, 講師 (10322968)
|
Keywords | ドブガイ / ヨコハマシジラガイ / オオクチバス / メダカ / 圃場整備 / 灌漑期 / 非灌漑期 / 溜池 |
Research Abstract |
岩手県胆沢町いさわ西部地区および川崎村門崎地区において,水田圃場整備予定地区での水生動物の現況把握調査を実施した。まず,いさわ西部地区では,地区全体の水路において水路網図を作成したうえで,全水路における二枚貝の生息状況を調査した。その結果,イシガイ類2種(ドブガイA・B型,ヨコハマシジラガイ)の生息が確認された。いずれの生息も,非灌漑期にも水路内が湛水されている,溜池直下の水路に限られていることが明らかとなった。また,生息地のマイクロハビタット分析を行なったところ,ドブガイは底質が泥で、流速がほとんどない水路、ヨコハマシジラガイは底質が泥もしくは砂の水路をそれぞれ選好していた。さらに,イシガイ類を産卵母貝とするタナゴ類は,殻長が小さい貝を選好していることが明らかとなった。つづいて,現況保全される同地区の溜池において,外来種であるオオクチバスの駆除調査を実施した。本種の体サイズ構成及び食物と溜池の構造,水質,水草の繁茂状況,他の生物群集との関係の解明を目的としている。透明度が高く、水草の生育が悪い溜池では、小型の在来魚種の生息がほとんど認められず、オオクチバスの当歳魚も少ない反面、大型のオオクチバスと大型のゲンゴロウブナが卓越していた。一方、透明度が低く、ヒシ等の水草の繁茂が著しい溜池においては、大型のオオクチバスのほかに、モツゴ等の小型在来魚種とオオクチバスの当歳魚が数多く採捕された。川崎村門崎地区においては,季節ごとの水路網図を作成したうえでメダカの生息分布状況を調査した。非灌漑期の生息は湧水,沢水などが流入する水路に限定され,特に水深があり水温が高い地点での生息密度が高いことが判明した。灌漑期には,水路網の拡大にあわせ分布を広げ,水田にも侵入することが明らかとなった。また,流速が小さいことが重要な生息要因であることが明らかとなった。
|