2005 Fiscal Year Annual Research Report
水田生態系の生物多様性維持機構からみた生態系配慮型圃場整備の効果と限界
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16710167
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
東 淳樹 岩手大学, 農学部, 講師 (10322968)
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Keywords | 溜池 / CPUE / 圃場整備 / メダカ / 個体識別 / 標識再捕 / 移動分散 / 成長 |
Research Abstract |
水田の圃場整備において生態系配慮の一環として残存させることになった農業用溜池における整備後の生態系の変化の把握を目的として、残存された8ヵ所の溜池において生物相および水質調査を実施した。水質調査では、池の表層水と深層水、水路の水口と水尻の水をサンプリングし、7つの水質項目を計測した。魚類調査では、トラップ・タモ網で池内部と水路の魚類を捕獲し個体数・体長を計数・計測した。底生生物調査では、タモ網や稚魚ネットを使い、池内部の底生生物を捕獲し個体数を計測した。水質については、いずれの溜池においても、生物生息の制限要因となるような値は検出されなかった。魚類については、溜池、水路において8種4科の生息が確認された。溜池における魚類相は、ギンブナ優占型、モツゴ優占型、ドジョウ優占型、モツゴ-ドジョウ優占型の4つの型に分けられ、それらは溜池におけるオオクチバス駆除の有無、池干の有無等の生態系撹乱要因と関連性があることが示唆された。また、CPUEは溶存酸素と正の相関があり、溶存酸素は水草の被度と負の相関があることが認められた。溜池内の底生生物は魚類のCPUEが低いほど多様性が高い傾向が認められた。 平成19年度から水田の圃場整備事業が始まる岩手県一関市川崎町(旧川崎村)門崎地区において、メダカの保全を意図した生態調査を実施した。今年度は、本種の移動および成長を把握するため、約550尾について標識再捕調査を行なった。1日当たりの成長量は、放流時の体長が23mm以上と23mm未満のグループ間に有意な差が認められた。また、1日当たりの成長量は、放流から30日ころまでは大きな差は認められなかったが、40日以降になるとその差は顕著となった。また、水田への進入可能地点数と標識個体の採捕数を比較すると、進入可能地点数に関わらず、多くの個体が放流地点から200mまでの地点で採捕され、放流地点からの距離の増加に伴い採捕数は減少した。
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Research Products
(4 results)