2004 Fiscal Year Annual Research Report
ベトナム北部山地の農業発展の多様性:山地部の新しい環境開発戦略を求めて
Project/Area Number |
16710174
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
柳澤 雅之 京都大学, 東南アジア研究所, 助手 (80314269)
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Keywords | 農村開発 / ベトナム / 農業 / 商品作物 |
Research Abstract |
平成16年7月13日から8月1日にかけてベトナムを訪問し、ハノイで地図・統計・図書などの研究関連の各種資料を収集したほか、北部山地のラオカイ省バオタン県とソンラー省モックチャウ県にてフィールド調査を行った。ラオカイ省では都市一農村関係に関する調査を目的として、県都から距離の異なる3社にて、社レベルの経済活動における県都の役割に関する調査を行った。その結果、省一県一社といった行政上のヒエラレキーが農村一都市関係におよぼす影響は、人びとの活動によって異なることがわかった。たとえば、農村レベルの主要な現金収入源は、条件の違いにかかわらずどの社でも家畜飼育と農業生産に特化していた。それらの農産物の販売はおおくの場合、社レベルで行われるが、その流通先は多様で、かならずしも県から省に集中するわけではなかった。非農業生産活動では、小物の販売や日雇い労働といった不定期の肉体労働と、行政機関での定期的な給料による収入が、収入源のほとんどを占めていた。後者は社によってほとんど変化はみられなかったが、日雇いの肉体労働については県都から遠方の社ほど、省や他の町での労働に従事する傾向が見られた。そして、肉体労働は、公式のルートというよりはむしろ、個人的なネットワークで紹介されていることがわかった。また、通常、行政上のヒエラレルキーと対応すると考えられる公共福祉関連の活動(病院や郵便など)も、人びとは病気の程度に応じて、使い分けていることがわかった。 モックチャウ県での調査では、自然環境条件の異なる3箇所に設置した気象ステーションのメインテナンスを行った。本データを用いて、傾斜地での微気象が、農村発展の違いにどのような影響を与えるのかについて、調査する課題が残った。
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