2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16710186
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
多賀 太 久留米大学, 文学部, 助教授 (70284461)
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Keywords | ジェンダー / 男性性 / 労働 / 組織 / 生活構造 / 生活史 / アイデンティティ / 男女共同参画 |
Research Abstract |
平成17年度は、前年度に引き続いて、文献調査および男性雇用労働者に対する生活史インタビューを実施し、暫定的な分析を行った。 文献調査は、国内外のジェンダー関連および労働・組織社会学の文献を中心に行われた。その結果、男女間の雇用機会の均等化や育児支援体制の整備、雇用形態の多様化や能力主義・成果主義の浸透という環境のもとで、より「隠れた」形で職場の男性支配体制が維持されていること、男性内の社会経済的地位格差が拡大していること、明白な外的強制よりも内的動機づけによる「働き過ぎ」が深刻化しつつあることなどが仮説として提起された。これらの成果の一部は、「男性のエンパワーメント?」(『国立女性教育会館研究紀要』第9号、2005年)および『男らしさの社会学』(世界思想社、2006年4月下旬刊行予定)として発表された。 インタビュー調査に関しては、機縁法によって選定された15名に対する実施を予定していたが、多忙等を理由に5名から次年度への延期を申し出られたため、結果的に10名の男性雇用労働者(首都圏4名、関西都市圏1名、福岡都市圏2名、その他3名)に対して実施した。インタビューの内容は、録音を拒んだ1名と文書での回答を希望した1名を除く8名に関して録音を行い、すべて文字化し、個人別の事例分析を行った。分析の結果、上記の仮説を支持する具体的な多くの事例が得られた。 今年度は、結果的に30〜40代の対象者が中心となったが、この世代は、最も性別役割分業に反対する傾向が強いにもかかわらず、最も労働時間が長く、小さな子どもの世話をしている割合が高い世代である。男性雇用労働者の生活構造の変化のダイナミズムを明らかにする上で重要な世代であるため、次年度もこの世代を中心に調査を行い、3年間の研究成果を総括する。
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Research Products
(1 results)