2005 Fiscal Year Annual Research Report
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16720012
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Research Institution | Niihama National College of Technology |
Principal Investigator |
野田 善弘 新居浜工業高等専門学校, 一般教養科, 助教授 (80290815)
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Keywords | 東南大学 / 学衡派 / 少年中国学会 / 現代新儒家 / 劉伯明 / 方東美 / 柳詒徴 / 唐君毅 |
Research Abstract |
昨年度、東南大学の知識人に関する概要を調査研究し、その成果を「民国時期の東南大学について(下)」(東洋古典学研究19、2005.5)として上梓した。本論文では、東南大学で教鞭をとった知識人の生涯と思想について論述するとともに、その思想が後世にどのような影響を与えたのか、すなわち東南大学の歴史的意義についても自らの見解を示した。その思想を後世に伝えた思想家として、筆者が最も注目している人物は、現代新儒家として著名な唐君毅である。唐は晩年、東南大学の建学精神を高く評価する発言を残している。唐君毅はその多感な青年期を東南大学・国立中央大学で過ごしていて、唐の思想形成において南京の思想空間が大きな影響を与えたことが推測される。筆者は現在その論証にとりくんでいる。来年度には、これを完成させる予定である。 唐君毅研究は、東南大学精神の後世への継承を考えるうえで重要であるが、一方で、東南大学の基礎を築いた人物に対して、深い考察を加える必要がある。その人物は、劉伯明と柳詒徴である。そこで、今回はこの両者の著作の調査を主な目的として、平成18年1月2日〜9日、東南大学人文学院の張祥浩教授の協力を得て南京図書館古籍部を訪問した。南京図書館古籍部は、柳詒徴が館長を務めた国学図書館の蔵書をもち、民国時期の多くの著作を所蔵している。筆者はここで、劉・柳の著作を閲覧し、貴重な資料を写真撮影した。来年度、これらの資料をもとにまずは劉伯明の思想についてまとめたいと考えている。今回、張教授に方東美研究で著名な蒋国保教授を紹介いただき、蒋教授には貴重な助言と励ましをいただいた。東南大学出身の著名学者である方東美の研究についても収穫を得られ、実に有意義な現地調査であった。その他、備品としては近現代思想家の著作全集、近代中国教育関係資料を多数購入し、資料は昨年以上に充実した。
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Research Products
(1 results)