2004 Fiscal Year Annual Research Report
19世紀西洋医学言説における「現代性」の指標とその発展-ビシャからコッホへ
Project/Area Number |
16720019
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田中 祐理子 京都大学, 人文科学研究所, 助手 (30346051)
|
Keywords | 西洋医学 / 19世紀 / 現代性 / コッホ / ビシャ / 病理学 / 生理学 / 言説分析 |
Research Abstract |
本年度は、申請時の研究計画にしたがって、前年度までの(1)現代医学・生命科学の発展とその社会的・文化的意義に関する研究、および(2)「現代医学」の発展史研究の2点についてのこれまでの研究活動を基にしながら、ひきつづいて関連文献調査、および研究会での口頭発表を通じての資料収集と他の研究者との意見・情報交換に努め、同時に国内・海外研究機関での資史料収集を行ないながら研究を進めた。とくに本年度は、これらの研究活動から個別に得られる知見を統合することを目指し、そのための独自の視座の提起を目的としながら、口頭による研究報告および論文の形での積極的な研究成果発表の場を得ることに努め、これを通じて他分野の研究者との意見交換および協同研究の機会を増やし、問題設定そのものの妥当性、有効性の検証を行なうことを目指した。これらの試みの成果は来年度に順次発表される予定である。 その一方で、本年は研究目的にも述べた、「医学言説における現代性の起源を探る」研究のために、19世紀医学言説の第一次資料解読・分析に特に力を注ぎ、関連先行研究と対照させながら、ビシャを転換点として発展するフランス臨床医学の発展推移と、コッホを到達点とするドイツ実験室医学の発展とを中心に、医学が現代的な意味における「医科学」へと変貌していく過程を、詳細な言説分析の手法により追究できるように、その文献資料の整備に努めた。そのための史料調査・資料収集のために、本年度は英国(ロンドン大学、大英図書館)へ出張したほか、インターネットを利用したデジタル資料を含む文献収集をおこなった。
|
Research Products
(1 results)