2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16720023
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大原 嘉豊 京都大学, 人文科学研究所, 助手 (90324699)
|
Keywords | 安岳石窟 / 大足石窟 / 四川省 / 玄妙観 |
Research Abstract |
本年度は、研究計画に則り、平成16年9月末に四川省安岳石窟及び大足石窟を中心とする外国調査を実行した。安岳石窟調査箇所は、円覚洞・千仏棄・玄妙観・臥仏院・華厳洞・毘底洞・浄慧岩である。夫足石窟は、宝頂山石窟・北山石窟・南山石窟である. その内、安岳石窟玄妙観に関しては、唐・玄宗朝の道教遺跡として貴重であるため、所属機関開催の共同研究班において同年11月1日に、該石窟造営事情を伝える基礎史料である第二十四号龕(1目六号寵)所在「啓大唐御立集聖山玄妙観勝境碑」の翻読・訓注を中心に調査概要を口頭報告している。 四川省は、中国の南北両者及び西域と境を接するが故に、文化上独自の地位を占めるが、南北との関連で見るならば、安岳・:大足両石窟を見る限り、唐代は両者共同-地域様式の範疇と見なし得、且つ長安経由の華北文化圏に完全に包摂され、その亜流と解さねばならない。西域の影響も、直接的なものとするよりは、河西走廊を通じて長安にもたらされた西域文化と規定するのが正確であると思われる。 宋代以降の様式の変遷は、大足石窟が典型的に示すが、唐代の地域的様式をベースに、江南の発達を原因としたその様式の流入の増大に注意される。これは地方的なものと言うよりは中央様式(北宋にあっては開封、南宋にあっては臨安)の反映と見なされるが、この動きは北宋後期以降に鬱勃として現れ、宋の南渡後は加速度を増す。図像的な面でも、北宋初に山西省五台山より移植された江南華厳の影響が南宋造営に顕著に見られると考えられることもこれを裏付けると考えられる。その為、北宋時代以降め中央規範様式の文化伝播経路としては、唐代とは様相を異にすると思われるのである。
|