2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16720027
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
京谷 啓徳 九州大学, 人文科学研究院, 助教授 (70322063)
|
Keywords | 活人画 / 見世物 / 祝祭 / タブロー・ヴィヴァン / 園遊会 / 山本芳翠 / 額縁ショー |
Research Abstract |
平成16年度科学研究費補助金交付申請書の記載に従い、順調に研究が遂行された。海外調査としては、ロンドンおよびエディンバラの博物館、美術館、図書館において資料収集および調査をおこなった。ルネサンス期にヨーロッパの諸宮廷において君主の執り行った祝祭の実体を、フェスティヴァル・ブック等の調査によって跡付け、とりわけ君主の行列の際に山車の上あるいは沿道の仮設装飾(アッパラート)を飾った活人画についての知見を得た。このことに関しては、現在「ルネサンスの宮廷祝祭における君主の行列」と題する論文を執筆中であり、次年度中に西洋美術の研究雑誌に発表の予定である。また明治期の日本における活人画に関する調査としては、数度の東京出張において、該当時期の新聞雑誌記事等の調査により、次第にその実体を明らかにしつつある。明治20年の工科大学講堂における本邦初の活人画に関しては、東京日日新聞およびやまと新聞の記事等によりその演目が明らかとなった。この時の活人画の視覚資料としては非常に限られたものしか残されていないが、その際に背景画を描いた画家矢田一嘯に関して、福岡県立美術館において展覧会(よみがえる明治絵画展)が開催され、彼が後にさかんに手がけることとなるパノラマ背景画と活人画のそれの関係について考察する格好の機会となった。明治36年の下田歌子による園遊会に関しては雑誌『をんな』に掲載された写真やその様子の報告記事など、その上演形態も含め明治20年のものとは比較にならぬほど多くの情報が集まりつつある。
|