2005 Fiscal Year Annual Research Report
中国南北朝時代の俑の様式変遷に関する調査研究-地域性からの考察を中心に-
Project/Area Number |
16720036
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Research Institution | The Association for the Advancement of Fine Arts, Osaka |
Principal Investigator |
小林 仁 (財)大阪市美術振興協会, 学芸課, 学芸員 (00373522)
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Keywords | 俑 / 南北朝 / 北魏 / 北斉 / 中国美術 / 中国考古 / 六朝 / 鎮墓獣 |
Research Abstract |
本年度は現地調査による南北朝時代の俑の実物調査と関連資料の収集とその成果を踏まえたテーマ研究及び一部成果の公表を実施した。 1.現地調査 (1)中国調査(1)〜山西地区等 大同市考古研究所、太原市考古研究所、山西博物院等で北魏、北斉時代の陶俑及び関連資料を調査した。近年発見された北魏宋紹祖墓をはじめ、山西地区の北朝時期の主要な陶俑を実見し、造形特質をはじめ制作技法や装飾技法等について多くの知見が得られた。また、保存状態の良い壁画が残る北斉徐顕秀墓の内部を特別参観することができ、墓葬空間全体を把握する上で貴重な経験となった。さらに、山西大学の王銀田教授や山西省考古研究所の張慶捷副所長、太原市文物考古研究所の常一民副所長ら現地研究者との意見交換を行った。 (2)中国調査(2)〜江蘇地区、河南地区等 本研究に関連する南北朝時代の陶磁史に造詣が深い愛知県陶磁資料館の森達也氏に同行を依頼し、江蘇省での六朝陶俑及び関連資料の調査、河南省での北魏陶俑及び関連資料の調査を中心に行った。とくに南京博物院、南京市博物館、河南博物院、偃師商城博物館では収蔵庫での特別調査を行うことができ、造形特質や制作技法、装飾技法等について多くの知見が得られた。また、現地研究者との意見交換も行った。 2.テーマ研究及び研究成果の公表 北魏陶俑と北斉陶俑についてのテーマ研究を中心に実施した。前者では平城時期から洛陽時期への様式変遷について、後者では〓地区と太原地区の二大様式の比較について、現地調査の成果を踏まえ考察を進めた。また、調査成果をもとに北朝鎮墓獣に関するテーマ研究も実施し、その成果は中国の出版物に公表予定で、成果の一部は愛知県陶磁資料館で開催されたシンポジウムで口頭発表を行った。さらに、平成16年度現地調査の成果を踏まえた漢水流域の陶俑に関するテーマ研究の成果について日本中国考古学会大会において口頭発表を行った。
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