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2004 Fiscal Year Annual Research Report

新出資料を中心とした近世前期連歌学書の研究

Research Project

Project/Area Number 16720044
Research InstitutionYamaguchi University

Principal Investigator

尾崎 千佳  山口大学, 人文学部, 助教授 (50335759)

Keywords近世前期 / 連歌学書 / 産衣
Research Abstract

関西大学図書館中村幸彦文庫所蔵の新出連歌学書『紅葉草』八冊について、書誌調査および前半四冊分の翻字作業を行った。
書誌調査の結果、該書の原表紙として利用されている反故紙の一部に、高良大社僧正や久留米藩主有馬頼元に関する情報が認められていることが判明した。反故紙には別に、同書の中書形態を示す本文が、同本浄書本文と同じ筆蹟で記されているものもあり、同書の成立過程を想像させてくれる。すなわち、『紅葉草』は、筑紫高良山の文化圏と密接に関わって成立した連歌学書と考えられるのである。元禄九年に没した高良山第五十世座主の寂源は、詩歌に通じ能筆として名高く、元禄三年、芭蕉の幻住庵に額を揮毫して贈ったことでも著名であるが、『紅葉草』の成立にも何等かの関与が想像され、筆蹟比較および寂源の連歌活動の検討が、今後の課題である。
本文前半四冊分の翻字作業においては、『紅葉草』が、瀬川昌佐や里村昌琢の説を多く引用することが明らかになった。いずれも、元和・寛永期より幕府御城御会に召されて活躍した柳営連歌師である。また、その内容は、寄合語説、指合説、難語註説、名所説、手尓於葉説、本意本情説と、連歌に関する知識のおよそすべてを網羅したとも言い得る膨大さ雑駁さを呈している。しかも、それらの大半が、元禄十一年刊行の連歌学書『産衣』所載の説とほぼ一致していることも判明した。『産衣』が、近世期の連歌作者にとって座右必備の書とされたことはつとに定説であったが、その成立と刊行については、混空なる経歴未詳の人物によって編まれたこと以外、ほとんど研究されていない。『紅葉草』成立の背景は、『産衣』編纂刊行の背景とも深い関わりを持つようであり、『産衣』編者「混空」についても、高良山文化圏に絡めつつ調査を進める予定である。

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Published: 2006-07-12   Modified: 2016-04-21  

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