2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16720051
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
増田 周子 関西大学, 文学部, 助教授 (30294664)
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Keywords | 出版 / 関西 / 雑誌 / 文芸運動 |
Research Abstract |
平成16年から17年にかけて、出版文化研究を行った。なかでも、大阪、東京を中心とした都会における出版文化と文芸運動に関する研究を行った。まず、東京であるが、東京に関しては、国立国会図書館や、日本近代文学館などの施設を利用して、フィールドワークをし、銀座における出版と文芸運動に関して研究を進めてきた。その成果としては、「銀座百点細目(1)」(関西大学『文学論集』第54巻1号)「銀座百点細目(2)」(関西大学『文学論集』第54巻2号)に連載した。いずれも、銀座という商業の町で、昭和の日本人作家、美術家、政治家などの著名人がどのような作品を発表し、そして、銀座という町が、どのようにして新興芸術派文芸運動の一端を担ったかを明らかにしていったものである。全て、未発表の文献であり、その意味でも意義がある。 大阪に関しては、研究代表者が以前より進めていた宇野浩二という作家と関連のある雑誌『新文学』(全国書房)に関連する、「宇野浩二未発表書簡十九通-神屋敷民蔵宛二通・河原義夫宛十五通・田中秀吉と河原義夫両名宛一通・他一通」(関西大学『国文学』第89号)を発表し、雑誌『新文学』がどのような編集意図をもって発行されたのかその経緯を明らかなものとした。 また、大阪や東京のカフェを中心とした文化芸術運動を追求し、国際日本文化研究センターの「出版文化研究-近世から近代へ」という研究プロジェクトに積極的に参加し、「関西におけるカフェと文芸運動」というタイトルで研究発表をおこなった。関西のカフェという場所で、どんな芸術活動が行われていたかを考察したものである。関西においても、パリやウィーンなどのヨーロッパの都市と関連する芸術活動が見られた。結果的に、世界的なモダニズムの動向の一部を浮き彫りにすることが出来た。
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