2004 Fiscal Year Annual Research Report
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16720052
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Research Institution | Baiko Gakuin University |
Principal Investigator |
加藤 邦彦 梅光学院大学, 文学部・日本文学科, 講師 (30350383)
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Keywords | 日本近代詩 / 日本近代文学 / 昭和文学(初〜10年代) / 中原中也 / 詩壇 / 雑誌「四季」 / 雑誌「歴程」 |
Research Abstract |
本年度は文献収集を中心に行った。特に力を入れて収集したのは、近代詩・近代文学に関連するもののうち、中原中也に関する文献と、雑誌「四季」「歴程」に関する文献である。そのほかにも、昭和初〜10年代を中心とする近代詩関連や、中原とも関係の深い映画関連・メディア関連の図書なども収集した。収集は主にインターネットや目録を通じての古書店での購入、国立国会図書館や早稲田大学図書館、中原中也記念館での調査・コピーによって行った。また、パソコンを利用して収集した資料を整理するとともに、資料をスキャナで取り込みデジタル化するなどして、今後の情報公開に備えている。 現在、収集した資料の読み込みを行っている最中であり、検討はまだ十分でないが、このたび新たに判明したことのひとつに、1934年4月、中原中也が第1回「『苑』の会」に出席していたという事実がある。「『苑』の会」は雑誌「苑」の寄稿者の会。中原以外の出席者は、室生犀星、萩原朔太郎、津村信夫、丸山薫、北川冬彦、堀辰雄、阿比留信、堀口大学、青柳瑞穂、辻野久憲、百田宗治。文壇はもちろん、詩壇においてもまだほとんど無名だった中原が、蒼々たるメンバーと席を同じくしている点が、実に興味深い。まもなく中原は詩の朗読会や詩壇サークルなど、さまざまな詩人たちの会合に積極的に顔を出すようになっていくが、この会への出席は、それらのなかでもかなり早い時期のものとして注目される。中原がこの会に出席したのはどのような経緯からだったのだろうか。このような会への出席は中原に何をもたらしたか。また、こうした詩人たちの会合そのものが、当時の詩壇状況と何か密接な関わりがあるのではないか。中原と詩壇との関わり、および昭和初〜10年代の詩壇の動向について、さらなる検討を進めていきたい。
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