2004 Fiscal Year Annual Research Report
英国18-19世紀の予約購読出版を利用した読者と作家と出版者についての歴史的文学研究
Project/Area Number |
16720054
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
小林 英美 茨城大学, 教育学部, 助教授 (70277862)
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Keywords | イギリス / ロマン主義 / 18世紀 / 19世紀 / 読者 / アン・イアズリー / 出版 |
Research Abstract |
本年度は18-19世紀の予約購読出版に関わった同時代作家・詩人・出版者、およびそれに関連する同時代定期刊行物や社会史的資料等の収集と研究を行なった。最初にアン・イアズリーの作品研究を開始し、彼女の作品を精読するとともに、彼女と同じ境遇の労働者階級の詩人の研究も行なった。世界的にも研究成果が少ない彼女の作品の特徴・傾向を客観的に把握するためである。だが比較をしながらの作業は当初の予定を越えるものであったため、他の研究と並行して年度末まで続けることになった。 夏季休業期間を利用した英国各地の図書館での資料収集は充分なものであり、ブリストル周辺地域の地誌的資料、同時代下層階級民衆の読書に関する資料も収集できた。ワーズワス図書館でのRobert Woof博士からの同時代出版と読者に関する助言も有益なものであった。また現地において同時代読者に関するWilliam St.Clair博士の大著The Reading Nation in the Romantic Periodが7月に出版されたことを知って急遽入手したが、そこに公開されている膨大な資料が本研究にとって極めて重要であることが判明したため、この著書を読むことを優先的に研究日程に加えることにした。そのため、帰国後の研究日程を若干変更せざるを得なくなった。まず渡英中の収集資料の整理を行ない、そののちに前掲書の研究を開始し、イアズリー研究を並行して続けた。なおイアズリーと読者研究については、出口保夫早稲田大学名誉教授の指導も受けた。本年度渡英中に収集した分についての予約購読者データベースの補完をほぼ終了した。本年度は前掲書のような予定外の資料が現れたために予定を変更せざるをえなかったが、これらは次年度以降の研究を充実させる強力な資料であり大いに活用したい。
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