2005 Fiscal Year Annual Research Report
英国18-19世紀の予約購読出版を利用した読者と作家と出版者についての歴史的文学
Project/Area Number |
16720054
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
小林 英美 茨城大学, 教育学部, 助教授 (70277862)
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Keywords | イギリス・ロマン派文学 / 読者層 / Ann Yearsley / 予約購読出版 / 貸本店 / Joseph Cottle / ブリストル / Hannah More |
Research Abstract |
18世紀末の予約購読者に関する研究を、ブリストルの18世紀末の女性詩人アン・イアズリーを中心に行なった。4月から8月にかけては、イアズリーの処女詩集出版に際して予約購読者収集に奔走した女性作家ハナ・モアとイアズリーの関係を研究した。特に両者の作品研究および伝記的な事実の調査から、イアズリーの詩集出版を巡る人間関係に焦点をあてた。この研究を充実させるために、8月中旬にはイアズリーの故郷ブリストルを訪問し、創作の背景になった場所や居住地などを確認し、ブリストルの公共図書館では18-19世紀のブリストルやホットウエルズなど、地元の社会と歴史に関する資料を収集した。またワーズワス夏季学術会議では、かつての指導教官で会議の主催者のジョナサン・ワーズワス博士と意見交換をし、さらにオックスフォード大学の中央図書館でもイアズリーに関する研究書やブリストルに関する研究論文などを精力的に収集した。帰国後の8月下旬は、収集した資料の整理と論文化の構想を練り始め、9月には研究発表原稿を作成に入った。10月中旬には山形大学に於けるイギリスロマン派学会全国大会において「Ann Yearsleyを巡る読者たち-予約購読出版から貸本店へ」のタイトルで研究発表を行なった。なおこの発表原稿を研究論文化したものが、学会機関誌『イギリス・ロマン派研究』29・30合併号(2006年3月発行)に掲載された。11月からはブリストル出身の詩人トマス・チャタトンに関する研究を開始すると同時に、今回のイアズリーを巡る読者層研究を通じて新たに発見した興味深い一読者に関する情報を、オックスフォード大学の知人を介して、その読者に関わりがあるケンブリッジ大学に照会した。結果は1月になって入手でき、現在それを分析しているところである。また並行してブリストル出身の詩人ロバート・サウジー、19世紀初頭に予約購読利用した女性詩人ヘマンズに関する資料を収集し始めている。
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Research Products
(1 results)