2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16720060
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Research Institution | Kobe City University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
濱崎 桂子 神戸市外国語大学, 外国語学部, 助教授 (00336819)
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Keywords | ドイツ語圏文学 / 移民文学 / 異文化表象 / 文化接触 |
Research Abstract |
今年度6月には、日本独文学会春季研究発表会において、学習院大学のThomas Pekar、東京大学のChristine Ivanovicとともに、『旅行文学と移民文学一文化人類学の観点から一』と題したシンポジウムを企画した。異文化接触をテクストに書き留めるジャンルとしての旅行文学と、異文化社会での生活をテーマに書かれる移民文学について、それぞれの異文化描写の特徴を比較しつつ明らかにしようとする試みである。シンポジウムにおいては、『Zur Beschreibung des, First Contacts' in der deutschsprachigen,Migrantenliteratur'.(ドイツ語圏移民文学における、「ファースト・コンタクト」の描写)』と題した発表を行い、若手のトルコ系作家カーラ(Yade Kara)のテクストを分析した。彼女のテクストでは、移民二世、三世の若者がドイツ生まれのトルコ系移民としてのアイデンティティをどのように身に着けていくかがテーマとなっている。「他者」としてのアイデンティティが演じられるこのプロセスを、文化人類学者が、他者を描写する際、「自己」のアイデンティティを構成していくプロセスとの比較を行った。また、このシンポジウムの成果を、同タイトルの日本独文学会叢書として発行する編集作業を行った。(2007年6月発行予定) 2006年8月には、韓国国立ソウル大学で行われた、アジア・ゲルマニスト(ドイツ語ドイツ文学研究者)会議に参加し、『Bekannte Fremde-Zur Beschreibung Deutschlands in der deutschsprachigen,Migrantenliteratur"(知られた他者-ドイツ語移民文学におけるドイツの描写)』と題した発表を行った。この発表では、移民によって書かれる風刺文学において、否定的な移民のステレオタイプがしばしば批判的に引用され、解体される過程を論じた。このステレオタイプ研究については、さらに、特に移民女性の表象に注目して研究を行った。その成果は、論文『ドイツにおける移民女性一その表現と表象』として、神戸市外国語大学外国語学研究に発表される。
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