2004 Fiscal Year Annual Research Report
ヴィクトリア朝イギリスにおける居住空間と階級意識表象との関係の分析
Project/Area Number |
16720067
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Research Institution | Seinan Gakuin University |
Principal Investigator |
三宅 敦子 西南学院大学, 文学部, 助教授 (10368970)
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Keywords | イギリス / 19世紀 / 文化史 / 英文学 / 生活様式 / 階級 |
Research Abstract |
本年度は当初の計画通り、資料収集を行った。基本となる研究書数冊の書誌一覧をもとに資料を集めたが、その大半が絶版でリクエストに応じて印刷されるという状態にあったため、集めるのに時間がかかった。したがってそれらの文献の分析は2005年度に行うこととする。また海外での資料収集として2月25日から3月17日まで大英図書館およびジェフリー博物館でのリサーチを行った。そのリサーチから1851年の大博覧会のみならず1870年代以降の商品文化が重要な考慮の対象になるであろうというという結論が出た。この3週間に及ぶリサーチの中で(1)インテリアに関連する文化史的な一次資料は1880年代以降に多く出版されていること、また当時影響があるとされていたラスキンやイーストレイクの書籍のみならず、多数の日曜大工的なより所得の少ない家庭向けのインテリア関連の書籍が出版されていたこと、(2)当時の家具の販売カタログや店舗の広告などが存在し、それらに記載されている家具の値段等も参考になること、(3)理論面ではブルデューの理論では欠けているジェンダーの視点も考慮したほうがよいということ、(4)最初は予定していなかったギッシングの小説からも有益な引用が得られそうだということ、またハーディの小説で家に関する短編("How I Built Myself A House")があること、(5)大英図書館でのリサーチからドイツ文学の分野において類似の研究が一つあること、などが判明した。ただその類似の研究では扱う小説を「リアリズム小説」に限定していることから、本研究でも本格的な小説の分析はそのような形で枠を絞ったほうがよいであろうという方向性を得た。また授業ではヴィクトリア朝文化を研究する演習でこのテーマの研究を多少であるが生かすことが出来た。3月末には19世紀を専門とする研究者の研究会に出かけ、そこでイギリスでのリサーチの一部を発表した。
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