2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16720071
|
Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
齊藤 大紀 富山大学, 人文学部, 助教授 (70361938)
|
Keywords | 1920年代 / 北京 / 文壇 / 沈従文 / 散文詩 |
Research Abstract |
本年度は、前年度にひきつづき、1920年代の北京文壇に関する資料の収集・整理に努め、一方でその成果を訳注「北京の文芸刊行物および作者」(上)(沈従文著、『湘西』第7号、2005年10月)および「1925年、北京、文芸の畑-沈従文「北京文芸刊物及作者」をめぐって-」(『野草』第77号、2006年2月)において公表した。 資料の収集・整理については、黄永健『中国散文詩研究』(中国社会科学出版社、2006年)をはじめとする関連図書の収集を行ったほか、1920年代北京の後発新聞たる『世界日報』(マイクロ・フィルム)をプリントアウトおよびデータ化し、次年度以降の研究条件の整備を行った。また上海図書館に赴き、当時の北京の学生界において重要な雑誌であったと思われる『燕大週刊』、『清華文芸』などを調査し、目録の作成を行った。そのほか北海道文教大学に赴き、沈従文著作の諸版本の状況について、城谷武男教授のご指導を仰いだ。 成果に関しては、当時文壇にデビューして一年あまりの投稿作家であった沈従文がものした評論「北京文芸刊物及作者」を翻訳し、訳注を施すことにより、従来あまり知られてこなかった北京文壇の一側面を調査した。それに基づき、「1925年、北京、文芸の畑」において、沈従文という個人の視点からではあるが、当時の北京文壇における文学生産システムについての問題点を指摘し、当時の北京文壇の状況の一側面を明らかにした。
|