2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16720089
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Research Institution | Osaka University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
那須 昭夫 大阪外国語大学, 外国語学部, 助教授 (00294174)
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Keywords | プロソディ / オノマトペ / 韻律語形成 / アクセント / 強調形 / 左接性 / 有標性 / 非対称性 |
Research Abstract |
本年度は,日本語オノマトペのプロソディならびにセグメント上の特性について研究を進め,以下の知見と成果を得た。 1)左接特性:日本語オノマトペの語形成に伴うプロソディ上の特性として,領域の左端位置での交替を起こすことにより対立を形成する「左接性」の特徴を,強調語形成に起こるプロソディの分析を通じて明らかにした。この研究の成果は論文「韻律接中辞と左接性-日本語オノマトペの強調語形成-」で公開した。 2)分節の無標性:新たに作り出されるオノマトペの音韻構造にどのような文法特性が現れるか明らかにするために,漫画メディアにおける部分反復形のパターンを広汎に収集し,日本語全般にわたり無標要素として働く舌頂子音ならびに後舌狭母音が新造語幹の第一音節のセグメント構成に現れやすいことを,統計検定(x^2検定)を交えた手法により定量的な見地から明らかにした。この研究の成果は論文「新造オノマトペの音韻構造と分節の無標性」で公開した。 3)予備観察:成人ならびに幼児におけるプロソディ形成にっいての予備観察を行い,その結果に基づいて実験デザインの検討を行った。実験に用いる刺激音を試験的に作成するとともに,幼児向け実験に備えた提示描画を作成した。これらの有効性を検証するために調査協力施設(あかね保育園)に出向いてパイロットテストを実施した。また,成人対象の実験デザインは現在上記の素材と併せて引き続き検討中である。 4)音韻理論:将来的な理論分析に備えるための基盤として,プロソディと語形成に関わる音韻理論について検討し,本年度は特に構造の有標性と非対称性について研究を進めてきた。特に本年度の成果1)に基づき,従来派生の方向が左接特徴と整合しない事象(口蓋化現象)について,理論的に再考の余地があることを見出し,萌芽的な着想を得ている。
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Research Products
(4 results)