2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16720089
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Research Institution | Osaka University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
那須 昭夫 大阪外国語大学, 外国語学部, 助教授 (00294174)
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Keywords | プロソディ / オノマトペ / 韻律後形成 / 非対称性 / 有標性 / 最適性理論 |
Research Abstract |
昨年度に引き続き,オノマトペをはじめとする各種の韻律語形成の文法性について理論・記述の両面から検討を継続した。当初の研究実施計画に沿って,本年度は韻律語形成に観察される音韻的非対称性を中心に考察を進めるとともに,新造形の容認性に関する成人対象の語形成実験を実施した。 1.非対称性の探究:オノマトペの口蓋化・有声化・強調化に注目し,各過程での非対称な音韻パターンの性格を,音韻的有標性との相関の下に明らかにした。有標性がオノマトペの語形成に強い影響をもたらしていることは昨年度から既に予測されていたが,本年度はこの予測を理論的見地から検討し,有標構造を無標化する場合に限って特別な音韻過程が駆動されること,および,一般的パターンと特殊パターンの関係が十分条件の論理により一般化できる点を明らかにした。この成果は論文「オノマトペの音韻構造に見る非対称性」で公開するとともに,11月に開催された日本英語学会のシンポジウム"Asymmetries in Phonology : An East-Asian Perspective"において‘Asymmetries in Mimetic Phonology'として発表した。加えて,オノマトペ以外の韻律語形成での非対称性とも対照するねらいから,本年度は複合外来語の短縮過程のしくみについて検討し,特殊モーラ間の性質の違いが語形成の文法性に関与していることを明らかにした。この成果は論文「複合外来語の短縮に見る特殊モーラの非対称性」として公開した。 2.語形成実験:昨年度から策定してきた計画に基づき,HLL型新造オノマトペの容認性に影響する音韻特性を明らかにすべく,成人を対象とする語形成実験を実施した。現在はその結果の分析を進めている最中であるが,萌芽的知見として,語幹に含まれる母音のソノリティの関係が語形の容認性に関与している可能性が既に見出されている。
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