2004 Fiscal Year Annual Research Report
日本語における「とりたて」の体系化に関する記述的研究
Project/Area Number |
16720102
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
安部 朋世 千葉大学, 教育学部, 助教授 (00341967)
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Keywords | とりたて / 副詞 / セイゼイ / タカダカ / タカガ |
Research Abstract |
本年度は、とりたて副詞に分類される諸形式のうち、セイゼイ・タカダカ・タカガの三種類について考察を行った。 まず、セイゼイについて、主として小説における用例を収集し分析を行った。そして、セイゼイにはとりたて用法とそれ以外の用法の二つの用法が存在することを確認するとともに、二つの用法がそれぞれどのような特徴を有するのかを明らかにした。その上で、とりたて用法のセイゼイについて、「前提集合」「当該要素」「他の要素」の関係から分析し、<スケール上に位置付けられる形で想定される前提集合の中で、もっとも高レベルてはない(スケール上、当該要素より高レベルの要素が想定される)要素を「限度」と位置付ける、発話者の主観的判断を表す>ものであることを明らかにした。 次に、セイゼイについての上記の分析をもとに、それと同様の意味を有するとされるタカダカ及びタカガとの違いについて分析を行った。その結果、タカダカは、<スケール上に位置付けられる形で想定される前提集合の中で、当該要素を「低レベル」と位置付ける、発話者の主観的判断を表す>ものであり、セイゼイと同様の「とりたて機能」を有するが、タカガは、取り上げる要素自体をマイナスに評価付けるものの、それと対比される他の要素の想定が行われないことから、<とりたて機能を有するとするには問題がある>ことが明らかになった。 以上の成果をもとに、次年度も継続してとりたて副詞についての用例の収集とその分析を行い、とりたて副詞の体系化に向けた考察を進めていく。
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