2006 Fiscal Year Annual Research Report
日本語における「とりたて」の体系化に関する記述的研究
Project/Area Number |
16720102
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
安部 朋世 千葉大学, 教育学部, 助教授 (00341967)
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Keywords | とりたて / 副詞 / モッパラ / ヒトエニ / バカリ |
Research Abstract |
研究の最終年度に当たる本年度は、とりたて副詞に分類される諸形式のうち、モッパラを中心に考察を行った。 モッパラと同じく限定のとりたて副詞に分類されるタダ・単ニ・ヒトエニとの比較や、限定のとりたて助詞に分類されるバカリとの比較を通して、モッパラの特徴を分析した結果、構文的特徴として、以下の2点を指摘した。 ・従来の指摘とは異なり、モッパラ等限定のとりたて副詞とダケ・バカリ等の助詞との共起関係は、とりたて副詞の特徴付けの決定的な要素ではないこと ・トッパラには、「…モッパラとする」「…モッパラだ」といった、タダ・単ニ等にはみられない用法があること また、意味的特徴として、 ・モッパラの意味的特徴として<複数性>を有する、すなわち、<構成要素がモッパラで示される内容に該当するかについて、おおかたが「モッパラ」で示される要素である>ことを述べる文であること を明らかにした。 さらに、ヒトエニとの違いや、バカリとの違いについては、以下の点を指摘した。 ・ヒトエニが発話者の主観的な価値付けを伴うのに対して、モッパラはそのような価値付けを伴わないこと ・バカリは<マイナスのニュアンス>を伴うのに対して、モッパラはそのようなニュアンスを伴わないこと 本年度においては、以上の成果を得るとともに、初年度、2年目における成果とあわせ、「とりたて」の体系化に寄与する一定の成果を上げることができたと考える。
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