2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16720110
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Research Institution | Jissen Women's University |
Principal Investigator |
福嶋 健伸 実践女子大学, 文学部, 講師 (20372930)
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Keywords | 文法化 / テンス / アスペクト / 〜テイル / 〜テアル / 〜タ / スル / 動詞基本形 |
Research Abstract |
本研究の目的は、日本語のテンス・アスペクト体系の変遷を明らかにし、その変遷の有り様の言語学的な位置づけを明確にすることである。 1:本年度は、まず、現代日本語の〜テイルについて考察を行い、〜テイルが新たにニ格句を出現させている場合の条件を明らかにした。本考察により、「動詞の格体制を変更させている〜テイル」の特徴が記述的・体系的に捉えられるようになった。この研究成果の一部を、「無いはずのニ格句が有る不思議-格体制と〜テイル-」(『國文學 解釈と教材の研究』51-4(學燈社)で紹介した。 2:次に、上記の研究成果を参考にしつつ、日本語のテンス・アスペクト体系の変遷を、他言語との対照や、モダリティ形式との関係を念頭に置きつつ考察した。その結果、申請書に「予想される結果と意義」として記した通り、主要なアスペクト形式が存在型である言語(目本語や韓国語)の体系の変遷に類型が見られることが明らかになり、大変興味深いことに、現代韓国語と中世末期日本語のテンス・アスペクト体系に共通点のあることが明らかになった。この研究成果の一部を、安平鎬氏(韓国誠信女子大学校助教授)と共著で、日本語学会(旧称:国語学会)学会誌『日本語の研究』第1巻3号(『国語学』通巻222号)に発表し、また、報告者(福嶋)の単著で、「「狂言のことば」と現代韓国語の意外な類似点」『武蔵野文学』53(武蔵野書院)、及び「アスペクト研究に残る謎は何か-中世末期日本語の謎解き-」(『國文學 解釈と教材の研究』51-4(學燈社)で紹介した。 3:中世末期日本語のテンス・アスペクト体系をモダリティ形式との関係で考えた場合、記述に有効な仮説を立てることができ、その仮説を「文法の面白さを文法教育に-クイズで読み進める中世の文法-」『日本語学』4月臨時増刊号(明治書院)に発表した。 本研究の成果により、日本語のテンス・アスペクト体系の変遷を類型論的考察するという観点からの研究の可能性が提示され、またモダリティ形式との関係も明示することが可能になった。
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