2005 Fiscal Year Annual Research Report
「表示的モジュール性」に基づいた英語の統語的不規則性に関する研究
Project/Area Number |
16720116
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Research Institution | Kagoshima Prefectural College |
Principal Investigator |
松山 哲也 鹿児島県立短期大学, 文学科, 助教授 (90315739)
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Keywords | N after N / NPN / 文法化 / 異なり語数 / インターフェイス / コーパス |
Research Abstract |
本研究の目的は、「表示的モジュール性」に基づいて、統語論中心主義の「移動」よりは「対応規則」の方が、英語の例外的構文の特性を適切に記述できることを明らかにすることである。本年度の印刷化された研究成果2つある。1つは、論文「NPNの通時的・共時的考察」(『文法化 新たな展開(仮題)』(秋元実治,保坂道雄(編))である。本論文では、コーパスを活用しN after N構文に対して通時的・共時的な考察を加えた。通時的には松山は、N after N構文について17世紀から20世紀までのデータを調査し、当該構文の名詞が独立した構成素であることを示す証拠を17・18世紀の文献に発見した。その結果NPNは、生産性が高い「構文的イディオム」と生産性が低い「語彙的イディオム」の2つのタイプがあることが判明した。もう1つの研究成果は、"On Productivity and Idiomaticity of NPN Constructions : A Corpus-based Study,"(Studies in English Grammar and Usage Vol.12p.47-62)。本論文は、20世紀のコーパスを活用しNPN構文の生産性を「異なり語数」をもとに調査し、「異なり語数」の高いN after Nが生産的であるということを明らかにした。 また松山は、第22回日本英語学会(2005年度11月12九州大学(箱崎キャンパス))のシンポジウム(「普遍文法と言語記述」)の講師として『NPN構文について-N after Nを中心に』を発表した。この発表では、「言語はインターフェイスの外側からの要請を充たす」という極小主義プログラム独自の観点から、英語の周辺的現象を考察し、個別言語の例外的現象も言語の一般性を知る鍵になること示した。とりわけ、N after N構文について、統語的性質と意味的性質を類似構文と比較し、この構文が統語的には個癖性を示すものの、インターフェイスの外側(概念構造)に還元できる意味的な一般性を示すことを明らかにした。具体的には,N after Nは統語的に凍結しているものの、意味的には裸の不定名詞句と同じ振る舞いをすることを論じた。
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Research Products
(2 results)