2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16720119
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
松田 真希子 長岡技術科学大学, 留学生センター, 講師 (10361932)
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Keywords | 複合名詞句 / 習得 / 日本語学習者 / 母語干渉 / 誤用分析 / アジア7カ国 / 漢字圏・非漢字圏 / 日本語教育 |
Research Abstract |
今年度は日本語学習者に見られる複合名詞句の誤用について,「日本語学習者による日本語作文と,その母語訳との対訳データベース」(国立国語研究所作成)に集められた7力国(中国,韓国,モンゴル,マレイシア,タイ,ベトナム,カンボジア)の学習者の作文データから誤用を抽出し、比較・分析した。その結果,母語によって異なる誤用と、共通の誤用が見られ、母語の干渉の可能性が示唆された。その成果を平成17年度日本語教育学会秋季大会、日本語教育方法研究会(第25回、第26回)にて発表した。具体的な成果は以下の通りである。 (1)ベトナム語学習者の名詞句習得に関する成果:最も名詞句の誤用のバラエティに富んでいたのはベトナム語話者であった。漢語文化圏であること,非漢字圏であること,語構成法が日本語と異なること,「の」相当語の使用範囲が日本語より狭いことなどが要因として考えられる。 (2)漢字圏・非漢字圏出身者別の複合名詞句生成に関する成果:複合名詞句の誤用数は中国語話者に最も多く続いて韓国語話者に多いが,誤用も含めた複合名詞句の産出量は中国,韓国,日本,ベトナム,タイ,マレイシア,カンボジア,モンゴルの順であった。漢字・漢語圏の学習者は非漢字・漢語圏の学習者より名詞句生成に対する抵抗がないと考えられ,母語干渉の可能性が高い。 (3)「の」相当語の用法の異なる母語の名詞句習得に関する成果:タイ語,ベトナム語話者は産出された複合名詞句に占める誤用の割合が高い。これは,「の」の使用範囲が日本語より狭いことと関係があると予想され,母語の干渉が考えられる。またモンゴル語話者は7カ国の中で最も複合名詞の使用頻度が低い。母語ではN+N名詞句には必ず「の」相当語が入ることを考慮すると,使用回避の可能性があり母語干渉の可能性が高い。
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Research Products
(1 results)