2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16720124
|
Research Institution | Nagasaki University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
岡部 悦子 長崎外国語大学, 外国語学部, 講師 (40339734)
|
Keywords | 高校生 / 交換留学生 / 日本語習得 / 異文化適応 / 年少者日本語教育 / 日本語能力評価 / 国際交流事業 / 高等学校教育 |
Research Abstract |
平成17年度の研究では、昨年度行った『東京都高校生留学事業<第12回受入>の記録』<(財)東京国際交流財団、2002年>を対象に、留学生の留学経験に対する印象の調査分析の継続と論文執筆、次年度の調査準備を行った。 その結果、「I.異文化を知り、様々な体験をした」、「II.異文化の中で、苦労しながら人間関係を築いた」、「III.留学プログラムの制度・行事を通じての体験」、「IV.留学に対する肯定的な評価」という4つの主たる要素に印象を分類できたことに加え、(1)楽しい経験・つらい経験を含め、留学経験全体を肯定的にとらえていること、(2)母国との生活と異なる習慣の体験、友人やホストファミリーとの交流・学校行事や部活動への参加など、新しい体験を通じて精神的に成長をすることに意義を見いだしていることがわかった。この結果をさらに国別に分析すると、英語・西洋文化圏であるオーストラリア出身の留学生は、他の中国・マレーシア・インドネシア・タイ・ブラジルの5力国の留学生と比べ、人々との交流の機会が多く得ている傾向がみられた。これは英語が日本社会で普及している分、コミュニケーション上有利な立場にあることが推測される。一方、ブラジル人留学生は英語も日本語も理解せず、コミュニケーションの手段が限られるため、不便な生活をしていることがわかる。また、今回の研究の対象に中国・タイ・マレーシア・インドネシアなどのアジア諸国が4力国含まれていたが、留学生活の中で異なる習慣への驚きは、マレーシア・インドネシアの学生のほうが、中国・タイの学生に比べて多く感じていることがわかった。これにはイスラム圏・非イスラム圏という宗教の違い、所得水準や教育制度の違い等、様々な要因が推測される。従来の研究では、これらの国々は同一の「アジア」として処理されることが多かったが、留学生それぞれの母語や文化に配慮した細かな分析が必要であると思われる。
|