2004 Fiscal Year Annual Research Report
対照修辞学に立脚した日本人向け英文ライティング教授法とモデル教材開発のための研究
Project/Area Number |
16720134
|
Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
西川 純恵 日本医科大学, 医学部, 助手 (60373015)
|
Keywords | 英語教育 / ライティング / second language writing |
Research Abstract |
英語圏および国内で刊行されている非英語母語話者用英文ライティング教科書に見られる教授法の特徴を概観した結果、パラグラフ構造についてはその構成要素としてトピック・センテンスやサポーティング・センテンスの役割を知識として与えることに終始するものが多い。また複数パラグラフからなるエッセイ・ライティングの場合は、英語文化(主として米国)での伝統的修辞法にそって、比較・対照や原因・結果というカテゴリーを前提とするものが大半である。しかし日本語母語話者の大学生が、英文のパラグラフやエッセイに求められる論理構造に適った形で実際に書けるよう習熟していくためには、そうした従来型の教授法では不十分である。その理由の根幹には日英語の文章作成における具体的な差異として、英語での論理的文章作成においては、一つのパラグラフを構成する一連の文は一般性(generality)のレベルにおいて階層性を有して関連し合っていることが前提となっている点が挙げられる。したがってパラグラフ内の連続する文と文との論理的関係が等位、あるいは従属の関係にあるのかを明確化した文章を作成するよう学生の意識を高めることが指導上重要である。 日本語母語話者の大学生へのアンケート調査から、日英語での文章作成上、論理構成として結論を示す行程の差異に戸惑う場合が多いことが示された。学生が大学入学以前に学んだ日本語による小論文構成方法としては、対照修辞学上指摘されてきた起承転結型はごく一部であって序論・本論・結論型が多いが、英文エッセイ・ライティングの構成と合致するわけではないことから混乱を招きやすいと言える。よって全体を見渡した論理構成を整えてから書くという姿勢を学生の間に徹底させることが重要であり、先にパラグラフ構造に関して挙げたgeneralityの階層への意識をふまえたアウトラインの構築を指導していくことが有効であると考えられる。(799字)
|