2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16720146
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 全敏 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 助手 (20313182)
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Keywords | 天皇 / 御膳 / 食事 / 贄 / 平安時代 / 宮廷 |
Research Abstract |
本研究では、はじめに次のような方針を立てた。 第一は、これまで概観的にしか検討を加えられていなかった天皇の食事作法-食器・座具・細かな作法-を復元すること。この点につき、初年度である今年度は、座具と細かな作法について一定の新知見を得ることができた。すなわち、10世紀以降、天皇がその上に座って食事をとることになる「畳」について、その成立過程を考察し、「畳」が7世紀以前からの座具・座法が発展して生まれてきたものであることを明らかにすることができた。また細かな作法については、天皇が食事のたびに白飯を少量だけ別皿にとりわけ、自らの分身たる人形(「ヒヒナ」)に供じることを明らかにしえた。ちなみに、この「ヒヒナ」はいわゆる「雛人形」につながるものである。 第二に、食材に関する零細な史料の収集を課題に掲げた。この点については、試行錯誤の上、本年度は学習院大学の史料館が所蔵する浜島家文書(近世文書)に注目した。いまだ詳細な検討をなしえていないが、近世文書から古代史に関する情報を抜き出す作業を試みている。同様の試みは、慶応義塾大学の図書館が所蔵している魚菜文庫についても、所蔵者の許可を得て行う予定である。浜島家は内膳司をつとめ、魚菜文庫の文書群を伝えた高橋氏は御厨子所をつとめた家であるから、これまで特に不明点の多かった朝干飯御膳の復原が可能になるかもしれない。
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