2005 Fiscal Year Annual Research Report
『元亨釈書』を中心とした東アジアにおける日本中世僧伝の研究
Project/Area Number |
16720148
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
菊地 大樹 東京大学, 史料編纂所, 助手 (80272508)
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Keywords | 元亨釈書 / 法華験記 / 高僧伝 / 説話 / 僧綱制 / 実践行 / 唐宋梁高僧伝 |
Research Abstract |
多くの研究情報を効率的に調査・研究・活用するために、引き続き基盤整備に努めた。そのため、『国史大辞典』など、各種辞典類をはじめとする基本的な図書やデジタルカメラなどの購入を進めた。また、海外における僧伝研究情報の収集のため、アメリカ合衆国イェール大学東アジア図書館およびプリンストン大学東アジア図書館を訪れ、調査を行った。イェール大学東アジア図書館では、同館の所蔵する朝河貫一収集資料のうち、「応永三十二年具注暦」を調査した。同史料の紙背は「元徳二年曼茶羅供次第」であり、すでに翻刻紹介されている。調査の結果、同史料は15世紀前半に醍醐寺を中心に活動した真言宗僧侶の日記が書き込まれており、記主の確定にはいたらないものの、おそらくは満済ないしは義賢周辺の比較的身分の高い僧侶によるものであることが明らかとなった。記事の内容は、天皇・上皇の周辺や自身に関すること、また当時の伝聞記事など多岐に渡る。プリンストン大学東アジア図書館では、最近アメリカで発表された・宗教史関連の文献について調査するとともに、同大学宗教学部のジャクリーン・ストーン教授および大学院生等と研究情報交換の機会を設けた。最後に、データベース構築では、引き続き『元亨釈書』伝部に焦点をしぼり、各僧伝の登場人物について入力を進めた。具体的には、僧侶の人名ごとにデータを切り出し、その活動等の情報に関する本文を対応させてデータを蓄積させてゆく。
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