2004 Fiscal Year Annual Research Report
古代・中世移行期における宮廷礼儀の変容と平安京出土土器に関する総合的研究
Project/Area Number |
16720151
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
吉江 崇 京都大学, 文学研究科, 助手 (50362570)
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Keywords | 土器 / 宮廷儀礼 / 儀礼空間 / 饗宴儀礼 / 装束使 / 律令天皇制 / 神祇官 / 祭祀空間 |
Research Abstract |
古代・中世の移行期において土器が使用される宮廷儀礼(特に饗宴儀礼)を文献史料から幅広く抽出し、いかなる儀場でいかなる名称の土器が使用されたかに注目しながら、利用に便があるような簡略なデータベースを構築した。ここで構築したデータベースは、文献史料に記載された土器を中心とする食器名を抜き出し、その出典や記事全体のおおまかな内容をあげるとともに、食器名の前後15文字程度を引用したもので、これによって使用方法や使用する儀礼・儀場が一定程度把握できるものとなっている。本年度は、主に11世紀から13世紀初めの史料を検索し、予定していた範囲の文献の検索はほぼ終了することができたが、より研究に資するデータベースとするために、次年度以降は一層多くの史料検索を行ない、かつ検索対象の時期を広げていきたいと考える。 また、こうした作業を行なう一方で、宮廷儀礼に関する個別的な研究を学会誌へ二本発表した。一つは、平安時代の宮廷儀礼において儀場の装飾を行なった装束使なる官司について、その組織の特色や儀礼関与形態、成立時期を考察したものであり、その検討を通じて、10世紀中葉という時期に宮廷儀礼の多くが天皇の身近なものへと変化している様相を明確にすることができた。もう一つは律令制的宗教儀礼の中核を担う神祇官なる官司に関する考察であり、成立意義を律令制導入に伴い宮廷内に祭祀空間を有するようになるという観点から描き出した。いずれの論文も、土器の使用方法を明確にするという本研究の課題に直接的には関係しないものともいえようが、これまでの先行研究が土器というモノを研究の始点にし、逆に儀礼という観点からモノを描き出すことが不充分であったという反省点に立つならば、当該研究の基礎的作業として不可欠なものであったと考える。
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