2005 Fiscal Year Annual Research Report
古代・中世移行期における宮廷礼儀の変容と平安京出土土器に関する総合的研究
Project/Area Number |
16720151
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
吉江 崇 京都大学, 文学研究科, 助手 (50362570)
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Keywords | 土器 / 宮廷儀礼 / 饗宴儀礼 / 春日器 / 深草器 / 様器 / 中世都市京都 / 吉田地域 |
Research Abstract |
前年度に引き続いて、<土器>が使用される宮廷儀礼(特に饗宴儀礼)を文献史料から抽出し、いかなる儀場、いかなる儀礼において、どのような名称の<土器>が使用されていたのかについて分析・検討をおこなった。前年度は、食器に関わるもの全てを対象として史料の抽出をおこなったが、分析が散漫になることを考慮し、今年度は「土器」とよばれるもののなかでも「春日器」「深草器」、それから「土器」とは異なってある種特殊な器と考えられる「様器」「銀器」「瓷器」など、対象を絞って史料を収集した。特に儀式書や文学作品の検索をおこなったことで、<土器>を通じて宮廷儀礼が類型化できること、出土土器の変容も宮廷儀礼展開の流れと不可分であることを認識できた。こうした検討結果については、近く口頭発表および文章による報告をおこなう予定である。 また、そうした作業と並行する形で、律令都城制の最終形態である平安京が崩壊し、中世都市京都が展開していく時代的変遷過程を、京都の郊外である吉田地域をフィールドに考察して公表した。これは、出土土器の理解には都市や交通に関する認識を深める必要があり、都市の変容や交通の様相が端的にあらわれるのは、市街地よりもむしろ郊外においてではないかとの予測によるものである。フィールドとした吉田地域の様相が郊外の特質として一般化しうるかについては検討の余地があるが、京都の周縁地域の変貌を12世紀から16世紀の長い時間幅で把握しえたことは有意義な作業であったと考える。今後は、こうした都市様相の展開、<土器>などの考古資料のあり方、一見静的・保守的にもみえる宮廷儀礼などの様相、の三者がどのような関連をもつのかについても課題となろう。
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