2005 Fiscal Year Annual Research Report
档案・文集史料からみた中朝関係の様態-14・15世紀の明朝・朝鮮・女直-
Project/Area Number |
16720160
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
荷見 守義 弘前大学, 人文学部, 助教授 (00333708)
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Keywords | 档案 / 明朝 / 朝鮮王朝 / 遼東 / 山東 / 監察御史 / 軍管区 / 朝貢 |
Research Abstract |
中国明朝の新出史料集である『中国明朝档案総匯』の分析を進めている。その結果の一端を平成17年6月末から7月初にかけて韓国・光州市の朝鮮大学校で行われた「韓国明清史学会夏季学術大会」において「明朝档案研究の世界-遼東档を中心として-」と題して、報告を行った。この学会発表は韓国明清史学会の招待で行ったものである。ここでは、明朝档案の中に含まれる遼東関係の档案が明代遼東の国際関係を解明する上で極めて重要な意味を持つこと、また、明朝と朝鮮王朝との関係を検討する上で新たな視点を提供することを指摘した。その後、『中国明朝档案総匯』のなかの遼東に関わる档案を検討し、史料に登場する巡按山東監察御史について詳細に検討した。その一端を九州大学文学部東洋史学専攻発行の『九州大学東洋史論集』に発表した。ここでは、遼東地方を管轄する遼東都司の統治体制を検討した。明代の遼東は北方防衛ラインの最東端に当たり、モンゴルや女直、朝鮮に対する最前線となっていた。明朝において、地方は民政を統括する布政司、軍政を統括する都司、監察を行う接察司により統治されている。しかし、この遼東を統治する遼東都司は軍事機関であるものの、遼東に布政司、按察司が置かれなかったことから、遼東は軍管区である。ただ一方で、遼東は渤海を挟んだ対岸の山東の管轄区域であり、山東から民政や監察に関わる官吏が派遣されていた。従って、軍管区という理解には検討すべき点がある。そこで、平成17年11月に中央大学白東史学会大会で「明代巡按山東監察御史考」として構想を明らかにした。さらにそこから考えを進め、山東から派遣される官吏は限定的であり、また、巡按山東御史として遼東統治を監察した官僚は明朝中央から派遣されることから、基本的に山東とは関係がないこと、従って、軍管区理解に間違いがないことを指摘した。ほかに3本の論文を執筆し、来年度に公刊する。
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